2008年11月15日土曜日

債務担保証券商法の次はなに?

清話会さんのブログに掲載していただいたのだけれど

http://ameblo.jp/seiwakaisenken/page-3.html#main

こちらにもコピペしておこうかな、と。

・・・

経済の出来事を、うまくできた寓話がよく理解させてくれるということがある。


ドイツのfreiwirteという経済関係のメーリングリストを購読しているが、そこで、サブプラ危機から始まる金融危機に関して、ミヒャエル・ムジール氏の、08年10月24日付け「チャックと駄馬、あるいは米国金融システムの機能の仕方」という一文が目についた。


お話はおおよそこうである。


・・・


青年チャックは独立して農場を持つほど豊かになりたいと望んだ。


初めに彼は馬を農民から購入する。


農民に代金全部、100ドルを支払い、彼と翌日、馬を引き渡す約束を交わす。


次の日、農民が訪れ、チャックにこう告げた。


「悪い知らせです。申し訳ありません。昨晩、動物は倒れて死にました。」


チャックは答える。


「いいですよ。ただ私のお金を返してください。逃げないでください。」


農民は彼にこう打ち明ける。


「そのお金は昨晩、肥料を購入するのに使ってしまいました。」


チャックは少し考え、


「う~ん、じゃあ、」と口を開き、では、私は「死んだ動物をもらう」。


農民は尋ねる。


「何のために?」


「それでくじをしたい」とチャックはいう。


農民は驚く。


しかしチャックは答える。


「問題ない。それがすでに死んでいても、誰にも言わない。」


数ヶ月後、すてきなスーツとかっこよい靴でチャックと農民は都会の道を走る。


農民はいう。


「チャック、馬の死体の富くじでどれくらい儲かった?」


「こうさ」チャックは彼に説明する。


「2ドルで500枚のくじを売った。最初から1000ドルが利益だ。」


農民は「で、だれも不平をいわなかったかい?くじで勝った人は。」と聞く。


チャックは「単に2ドルを戻しただけさ。」と。


いま、チャックはゴールドマン・サックスで仕組み金融商品を販売している。


・・・


ここで馬はサブプラ債権である。


債務担保証券の構成要素である住宅ローンなどの貸出債権は、個人の平均信用度を上回る、オルトAとプライム、それにこれを下回るクレジット・スコアのサブプライム向けに分かれる。


プライムを○、オルトAを△、サブプラを×とすると、○△×を集めてきて債務担保証券を仕組んだ。


ここで×ははなから、死んだ馬であることがわかっていて貸し出したわけ。


しかし、要は、「問題ない。それがすでに死んでいても、誰にもいわない」ということであった。


つまり、死んだ馬も普通の馬も駿馬もみな切り刻んでごちゃごちゃにして一つの「馬」を作り上げる。これを格付け会社が、AAA, AA, A, BBB, BB, B, 格付外にランキングを作成してくれる。


客はこの馬がよい成績を出してくれるだろうと、その馬に賭ける。そうしていま、その馬は値が付かないほど下落している。こうした証券をたとえば、破綻してしまったリーマンから購入した人々は、額面1ドルにつき、いまはわずか15セントの値しかつかない紙くずを握ることになっているそうだ。


上記文中に「都会の道を走る」とあるが、まさに走ると表現できるほど、この詐欺商売のスピードははやかった。


そのスピードの元が金融工学であった。


80年代の半ばころ、ソロモン・ブラザースが証券化の技術を開発した。それに首を傾げてきたが、20年にも満たぬうちに、世界を席巻した。


投資会社(証券会社)はマネーマーケットからカネを借り、それを融資し、そう、「農場を持つほど豊かになりたいと望んだ」というぐあいに、融資しまくった。


死んだ馬でもよかったのだ。


そして証券化して販売した。


その販売代金をまた貸し付け、・・・以下同様。


最初にスタートするときに借り入れた資金のほかは、資本など不要なわけである。こうした手口はさまざまな類似の手口を生み出した。しかし、死んだ馬が稼いでくれると人に信じ込ませる本質にかわりはない。


米国人はクレジット・カードを使う。いま、その信用残高は2兆6000億ドル。これも資産担保証券の元になっている。


米国流生活様式は世界に輸出されてきた。しかし死んだ馬の成績に期待させ、リスクを引き受けさせるビジネス文化は死んだ。ほんとうに死んだのである。借金文化も死滅していく必要がある。


チャックを走らせてはならない、いや失速しているか。米国では債務担保証券の発行は急減しているそうだから。


しかしこの数十年、こうした金融<詐欺>産業で儲けてきて、それが立ちゆかなくなっている状況は米国にとって深刻だろう。仕組み金融商品で世界中の欲に目のくらんだ人々をだましてきはしたが、次なる米国の産業はなにか、製造業の大切さが日本人ほどわかっているのか、たとえそうではあっても、とてもそこには戻れないだろう。


債務担保証券というインチキを商えなくなって、こんどはどんな「産業」を起こすつもりなのか。


そこでどうするか、いま大統領がどちらになるか世界の注目ではあるが、こうした金融上の詐欺の尻ぬぐいをしなければならないだろう。もしかしたら、極端なドル安にするあらゆる手を使うかもしれない。

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