2009年1月1日木曜日

借金生活

元旦。

テレビを見なくなって久しい。代わりにネットで各種の新聞記事をみる。

なんの気なしに、シュピーゲルの英語版。ドイツのIT企業SAPの共同設立者、プラットナーへのインタビューが掲載されていた。彼自身、今回の金融危機で相当の損失を蒙ったようだ。

「世界はその財産以上に生活してきた。」

「我々すべてが完全な霧のなかにいる。」

という記事。

昨年の金融危機の発端となったサブプラ危機に関連した話題で、ちょっと考えさせられた。

サブプラ危機は、返せないのがわかっている貧困層にまで貸し込み、これを証券化して売り払う金融業者の「詐欺的」商法に問題ありとは思ってきたが、これを可能とさせてきた「風土」に言い及んでいる点に目がいった。

・・・以下引用

シュピーゲル:あなたに最初に今回の危機がこれまでのどの景気変動より大きいものだとわかったのはいつですか。

プラットナー:最初、私は英国の銀行ノーザン・ロックの支店の外で長い列を作る人々をテレビで見た。人々は突如、銀行の不始末に怯えた。その後、私はカリブ海のマルティニークにいました。そこでの休暇は米国人のお気に入りでしたが、一気に、ことごとく、彼らはいなくなりました。そうして、どこででも米国人がもはや住宅ローンを支払えなくなったので、やむを得ず家から出て行く光景を見ることになりました。いまでさえ、このことは私には不可解です。なぜなら銀行は空の家を持つことでなにも得るものはないですから。彼らはとにかく、家を始末することができません。すくなくとも人々にアタマのうえに屋根がないという傷を負わせることはなかったのです。

シュピーゲル:資本主義の極端な特質として、これは典型的ではありませんか。初め、誰もが一山当てようと望み、次には皆が逃げ出していく。

プラットナー:私は突然病気になった米国人を知っています。彼にはなんの健康保険もないことが判明しました。彼は米国で仕事をしているかぎり、なにかあったなら、じぶん一人で支払いをするつもりでいたのです。この人は仕事を失いました。そして家も。最後には、奥さんまでも。それは、私がそのシステムの問題についてちょうど考え始めたときでした。

シュピーゲル:その結果はどうでしたか。米国人はあまりに安易に借金で生活するようになったと?

プラットナー:米国の銀行はカネを稼ごうとしてますます貧しい人々に貸し付けることで彼らを債務のなかに追いやっていったのです。その背後には度を超した宣伝費があります。そのメッセージはこうです。住宅は常に値が上がっています。こんな低金利で家のためのローンを借りないのは愚かでしょう。これが米国人が巨額の債務に沈んでいった仕方というものです。おそらくそれは文化的な問題か、あるいは世代的なものです。個人的には、私は決して借金は持つなといわれて育てられました。

シュピーゲル:あなたは責任をもったぱら銀行ではなく、愚かな小口の投資家に押しつけているように聞こえますが。

プラットナー:これには誰もが参加していました。銀行家ばかりではありません。米国人は債務によって生きる準備ができていたのです。たとえばなぜ、彼らは高速道路の制限速度が許容するスピードよりはるかに速い大型のクルマを購入したのでしょう。それは彼らをそそのかしていたその産業だけではなかったのです。人々は唆されたかったのです。私は、このゲームは、もし米国が二つの大きな戦争にファイナンスする必要がなかったならば、長い間続いたと信じています。結局、ふつうの人々が家を買うためにカネを借り入れるのと同じ方法で、借り入れで代価を支払うのが戦争なのです。これはなにごとであれもっと悪くなる仕方というものです。

シュピーゲル:おそらくウォール・ストリートの人々は冷たいコンピュータ・プログラムで取引を管理するよりむしろ、もっと常識を使用すべきでした。

プラットナー:それに関してはそうです。考えるということが、コンピュータ・アルゴリズムによって一部、取り去られてしまいました。それは飛行機の自動操縦に少しだけ似ています。それなくしては飛行できないが、しかしまた、飛行機だけでは飛べないのです。

シュピーゲル:もし彼らが同じソフトを使っていたら・・・

プラットナー:彼らはみな、同じように振る舞う・・・

シュピーゲル:レミングスのように。

プラットナー:もしそうした聡明な数学者や統計家の誰もがそのソフトウエアと金融モデルを使って、ついにはこのような災厄を形作ったとしたなら、市場監視や規制をいっそう求めるのは間違った回答です。

・・・引用終わり

一方に、度を超した金融業者の宣伝があった。

そうなのだろうと思う。

たとえばCNBCのような経済専門チャンネルを見ていると、四六時中、経済のニュースに熱狂しているさまは、かなり見ていて辟易するものだ。よくまあ、これだけ、利得をめぐる話題に熱中できるものだと。

それに加えてモーレツな勢いのCM。CM、CM。

他方で、それをそそのかされたい人々がいる。借金とともに生活する準備ができている人々だ。

そそのかす存在とそそのかされたい存在。

しかし、いうまでもなく借金は未来の所得の先取りである。

いま、手に持っている資産ではない。

世界がその財産以上の生活をしてきたとの指摘は然りと思う。

と同時に、高度な金融工学も飛行機の自動操縦と同じ。それだけでは飛行機は飛ばない。どれほど高度化しても常識を追い出すことの愚を教えられる。

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