本日1月13日付けの産経新聞1面をみてちょっとびっくり。
「いまこそ『100年に1度の対策』」
として編集委員の田村秀男さんという方が、政府紙幣の発行に言及している。
併せて相続税免除の無利子国債や円建て米国債にも言い及んでいる。
我が国がバブル崩壊の頃、政府紙幣の発行や、その発行を期限付きマネーあるいは課税付きマネーでなせとか、セーブジャパン債として相続税免除の無利子国債発行を言ったことがあるが、冷笑の的で、暴論の極みとして一笑にふされたことがあった。
時代は変わったのだと思う。
記事を書いている田村さんはヘリコプターマネーのフリードマンにも言及しているが、彼がシカゴプランの支持者であり続けたことは有名。フリードマンは
「ヘンリー・サイモンズは不換紙幣の創造が政府独占であるべきであるという私が共有する意見を…保持していた。」
と議会で証言していたし、
1985年には、
「私は100%リザーブの支持者であることをやめてはいません。」
と書いている。
バブルを経験してきた我々としては、貨幣供給を増大させるにしても、それを既存の金融システムに任せていては効果がないことを実感しているはず。量的緩和や問題債権の疎開等を通して資金供給しているが、そもそもいくらカネを刷っても日米ともに準備預金にプラスの金利を付けているのだから市中金融機関はリスクのある貸出先に融資を積極化するわけがない。中銀の口座に積んでおくだけ。
米国のオバマ新政権は巨額の財政支出の実行を約束している。必要なカネは国債を発行して手当することになるだろうが、これまで人気の米国債も暴落懸念、さらにはドル暴落、はては米国は債務不履行に陥るだろうとか、ぶっそうな話に遭遇するようになった。
米国も他国もそうだが、およそ政府のような公的機関が、
★ 課税収入や民間の貸し手から借り入れることなしに、
資金を手当てしようと思ったら方法は3つしかない。
1 ルーズベルトがニューディールのための設立したReconstruction Finance Corporation (RFC)のような国有の融資機関をもってする。ただしこの場合は政府に貸し出す前にどこかからカネを借り入れておかねばならない。そこで資金調達コストを回避するため、この国有機関は自ら債務マネーを発行する必要あり。
2 地方政府(米国の州のような)が1のような銀行を設立し、部分準備に基づく信用創造を行い、地方政府には地方政府が融資する。必要なら地方政府保有の銀行は自ら地域マネーを発行する。
3 政府自らが紙幣を発行する。
これらはいずれも公的機関が新機関を設立したり、自ら貨幣を発行したりすることで、現行の金融システムの不全を克服しようとするもの。
米国は財務省マネーの印刷を30年ほど前に止めているが、復活するかもしれない。
この正月、親族が集まった席で、政府紙幣の話になった。
「財務省マネーって、あのリンカーンの絵が書いてあるやつかしら。私持ってるわよ。珍しかったからとってある。」
と妹がいうので、
「う〜ん、そうだったかな、どんなお札か見たことないから、調べてみる」
といった。
我が国にも、100年をはるかに超える以前であるが、明治の始め、太政官札、民部省札があった。これは政府紙幣だ。
くわえて、年7分の金利が付く価値が増えていくマネーだった。これはインフレのときには効果があるだろう。
デフレに効果がある減価するマネーも政府紙幣なら導入しやすい。貨幣持ち越しに税をかけるわけだから、この課税分は発行したマネーの償却にあてることさえできる。
非常のとき非常の策が必要ではないかと、産経新聞の記事をみて、あらためて感じる。
日銀成立前の明治時代を考えれば、各種のマネーが混在してもさして不都合はない。
しかし、非常の時であるにもかかわらず、政治を見ていると、非常の人がみあたらない。残念なことである。

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