2009年2月15日日曜日

購買力外部注入

休日。昨日は千葉の地域通貨ピーナッツの10周年記念の集まりで、久しぶりに懐かしい方々とお会いする。友情が訪れ、集う場に身を置くのは気持ちの良いものだ。その明るさはなににも代え難い。ピーナッツはほどなく会員数が2000人に達するとのこと。金融経済危機の状況となり、ますますその意義が注目されるだろうという声があった。

それにしても千葉は遠く、往復するのに疲れたので、本日は休養。といってもPCを前に作業に変わりはないか。

定額給付金もそうだが、こうした経済状況になると、人はカネを使わないし、購買力を外部注入しなくちゃならんという話になる。そういう時期は、ふつうなら無視されている「風変わりな異説」に関心が及ぶもの。購買力の外部注入といえば、戦前のカナダ、アルバータ州の首相を努めたウィリアム・エイバーハートだろう。ネットにはどれくらい情報があるか探してみることにした。もちろん、ネットでは限界があるので、大恐慌期のカナダを扱った、Pierre Berton, The Great Depression :1929-1939,1990.を引っ張り出してきた。

彼はCalgary Prophetic Bible Institute の創設者でジェイムズ王訳聖書を信じていたキリスト者であり、熱心に布教に努めていた人。

20年代はラジオ放送が一般化した時代だが、彼は1925年からCFCNという放送局で、Voice of the Prairies(大草原の声とでもいうのかな)を放送、聖書の講義をし始めている。この彼が、社会経済の問題に開眼し、貨幣改革の異端説と反ユダヤ主義で知られるクリホード・ヒュー・ダグラスを知り、ダグラス主義の「社会信用」の運動に熱心に取り組むきっかけになったのは、やはり大恐慌である。

カナダの農村地域に大恐慌が及んできたのは31年から32年を迎える冬頃。ラジオでの講義の生徒である農民から窮状を訴えられた。そしてダグラス主義のアイデアをモーリス・コルボーンの『失業と戦争』を読んで知る。

簡単に言うと(そう言うのは容易ではないが)、ダグラス理論は資本家体制が、人々に彼らの同郷の人々の労働の果実を享受させるに十分な購買力を提供しえないというものであった。人々が受け取る賃金の総額は常に生産コストの総額より少ないであろう。利潤マージンや一般管理費、物流や借り入れ負担などの追加的支出のためである。それで、ダグラスが議論したのは、生産されている財やサービスのすべてを購入するためのマネーがコミュニティに十分に存在しなかったということである。簡単にいえば、社会信用のスローガンを引用すれば、「豊穣のなかの貧困」である。不均衡を正すためにダグラスは政府が追加的な資金ー社会信用ーを支給すべきとし、そうすることでそのシステムが生産した財やサービスを人々が購入しうると説いたのである。

こうバートンが単純化しうるほどダグラスの理論は単純なものではないが、特段的外れでもない。エイバーハート自身、『経済学のダグラスシステム』というパンフレットを書き、成人に毎月、20ドル相当の購買力を証券の形で支給することを提案し、ダグラスの国民配当の考えを実践しようとした。

実際に彼の率いる社会信用党はアルバータ州の実権を握ったので、こうした考えは実践されていった。経済が厳しくなるほどに、こうした取り組みへの関心は高まるだろう。このへんの事情は詳しく紹介すべきだなあと思っている。

1 件のコメント:

kyunkyun さんのコメント...

初めまして。
「ベーシック・インカム」 との関わりで、ダグラスの社会信用論 (Social Credit) についても、ほんの少しずつですが、調べています。
ネット内には、関曠野さんの講演録や、ルイ・エバンの著作などもあるのですが、文章が長く、また専門的な経済用語も多いため、あまり理解出来ていません。
『小学生にも分かる社会信用論』 のような感じで、例えば箇条書きのような形で、簡素に教えて頂けると、とてもうれしく思います。
また、この考え方の問題点などがあれば、併せて教えて頂けると、とてもありがたいです。

* 参考 - 関曠野さんの講演録
http://bijp.net/transcript/article/27