2009年2月2日月曜日

政府紙幣の記憶

少し前に政府紙幣について書いた。

危機の時代、それはいつも着想されるが、我が国の歴史においては、「農本令草案」を書いた岡本利吉が思い出される。

農村恐慌が深化するなか、富士南岳の葛山に農村青年共働学校及び共働農場を開いていた岡本利吉は、昭和6年、権藤成卿の『日本農制史談』を純真社から刊行し、その巻末辞で、「農本令草案」を発表していた。

そこでは単位を「労」とする政府紙幣を発行すべしとしていた。

こんにちの人、一顧しておくに無駄ではないかもしれぬゆえ下記に掲げる。

農本令草案

第一条 将来の貨幣単位を人間労働とする準備を以て、政府わ紙幣十億労を発行しうるものとす 一労は一円に通用するものとす。但し兌換せず

第二条 農地わ左の標準価額を以て國に返納し得るものとす田 一反 二百円 畑 一反 五十円山林 一反 三十円 原野 一反 十円宅地 一反 三百円返納地に定着する物は國に帰属するものとす農地返納者わ破産法の規定に従ひ政府交付金を支給して債務を免れ得るものとす 但し公権を停止せず

第三条 労価紙幣は前条の返納交付金に充当す労価紙幣が返納交付金の支払に不足するときわ、政府は四分利労価公債を発行して之を交付するものとす

第四条 農地返納金が部落内に於ける他の者と共働して農地を共用せんとするときわ、田畑に付てわ収穫物の一割を公租とし、山林に付てわ四分の一の面積の国有林を管理する条件を以て返納地并(ならび)に之に定着する住宅其他の物を使用し得るものとす共働耕作者わ國有林野又は公私有林野を開墾して共用し得るものとす共働共用に関する規定わ別に之を定む

第五条 前条の公租わ田に付てわ米、畑に付てわ小麦、又わ大豆を以てすべし其品質わ穀物検査の合格品たることを以て足る収穫物の種類に応じての公租数量算定や公租納入の方法等わ別に之を定む

第六条 國の田畑に付き市町村わ公租の二割、府県は其一割を収得するものとす國、府県、市町村の会計わ歳入に依つて歳出を定むべきものとす

第七条 官吏、公吏、傭人其他の者に対する労務報償、恩給並に年金の類は支払額の三割以内を米、一割以内を小麦にて支給し得るものとす此場合に於ける米及び小麦の価額わ労務報償恩給年金等を定めたる当時の時価を標準として別に之を定む

第八条 農村部落は農家一戸の耕作地が平均五反となるまで其府県出身者が都会より帰農するを拒み得ざるものとす。但し林野開墾の耕作地わ之を算入せず部落が共働耕作を為す場合には帰農者は其一員たらしむべきこと

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