2009年2月6日金曜日

フェドスピーク

ずいぶん以前、時間の経過のなかで貨幣を持ち越すと課税されるゲゼルマネーを紹介させていただいたときに、耳がタコになるほど寄せられたギモンに、例えば5%の貨幣税と5%のインフレとは同じことではないかというのがあった。

常識で考えれば、両者はまったく異なっているのがすぐわかる、インフレは貨幣量の増加によって財ではかった貨幣の価格が低下するもので、貨幣量Mが増加している、しかし持ち越し税を負荷された貨幣の導入は、Mを増加させずにVを増加させるものでインフレを引き起こすことはない、と答えたことがある。

そうして、インフレの手法は貨幣量を増大させるわけだから、中銀債務の増加を意味するし、その副作用は無視できない。

翻って課税貨幣は課税部分が有効期限の来た貨幣を償還するさいの一部に充てられるので、貨幣発行当局の財務内容を改善しこそすれ、傷めることはないとも答えた記憶がある。

現在、米国の連銀を始め多くの中銀は量的緩和政策を実行している。量的緩和とはなんだ。それはフェドスピークではないか。単にじゃかすかドル札を刷って、銀行システムのなかに貨幣を溢れさせているだけだろうと指摘する向きもある。

その意見を聞いて、ジョージ・オーウェルの『1984年』を思い出した。そこでは共産主義独裁国家がその支配を強固にするために、極端に言葉の色合いをそぎ落としたニュースピークという語法を人々に強制している。そのニュースピークは人々の内面を支配し、独裁は揺るぎないものとされる。

そういえば、量的緩和という表現も、どことなく中性的で色合いを欠いている。これが、カネの増刷だよ、といえば、人々に、あ、インフレになるのかな、インフレは景気にとってよいかもしれないが、マイナス面もあるなとか、多様な反応を引き起こせるはずだ。

世の中には適度なインフレは好況を伴っていると考える人もいる。しかし好況はカネが市中に出回り、循環してでの話。いまの状況は金融システムのなかに溢れている状況だろう。

それもあって、連銀は金融システムをバイパスして、直接市中にもカネを流そうとしている。有担保の債券(MBS)を直接購入するなどしているわけだ。

0 件のコメント: