2009年6月12日金曜日

米国財政のブラックホール

ウィレム・ブイターの「米国財政のブラックホール」を読む。ざっと読んで見ただけだが・・・

結局、米国政府の債務を考えると経済危機で目先デフレ懸念があっても長期にインフレは不可避。問題はどれくらいの期間、いかなるテンポでそうなるかにおもえる。3〜5年という見通しは、すぐにもハイパーインフレを叫ぶゴールド商い人のお仲間の発言より信をおけそうか。

・・・以下抜粋・・
米国予算の見通しは、恐ろしく、悲惨でさえある。主に景気循環的理由が許すやすぐに始まる、永続的な緊縮財政がなければ、そしてそれは早いほど望ましいが、同国は公債の山に一直線であり、それはインフレで調整されるか、国家デフォルトを通して”解決される”かのいずれかであるだろう。

1970年以来、米国の(連邦、州、地方の)政府全体の公債の力学は以下の図1、2に示される。

http://blogs.ft.com/maverecon/files/2009/06/figure-1.png

http://blogs.ft.com/maverecon/files/2009/06/figure-2.png

これらが示しているのはジョージ・W・ブッシュ政権の無責任である。財政政策は容赦なく親景気循環的で、クリントン政権時代のかなり大きい余剰を一連の後退的な減税へと吹き飛ばした。図3が示すのは、

http://blogs.ft.com/maverecon/files/2009/06/figure-3.png

景気失速が始まる前は、GDPに占める公的支出の分子を引き上げ(08年第二四半期以降は)分母を引き下げることで、一般政府支出がジョージ・W・ブッシュ政権時代のほとんどの期間、GDPより速く伸び続けてきたことである(3つの数字すべてがOECDデータに基づいている)。

米国のGDPに対する一般政府債務は現在、ユーロ圏の水準を超えている。08年末に米国は73.0%、これに対しユーロ圏、69.3%。米国におけるGDPに占める公的支出(08年38.7%)はまだユーロ圏(46.7%)よりも8パーセントポイント低い。米国はユーロ圏より2ないし3四半期前に経済収縮に突入したので、違いを景気循環的に修正すると、公的支出プログラムの規模はさらに大きい傾向がある。

社会保障政策を通した、とりわけ低所得者医療扶助制度と老人医療健康保険制度による公的支出の容赦のない増加を無視してさえ、次の二年間に予想される米国の連邦政府赤字の並外れた水準(翌年、GDPの13〜14%、翌々年、それよりかなり少ないというわけではない)、くわえて銀行への資本注入、金融システムの別の不安定性を支え、GMやクライスラーのような斜陽の怪獣を救済するための介入、これらは政府の一般総債務のGDP比を100%を超えさせることになりそうである。

しかしそれでさえ始まりにすぎない。米国人を誰も健康保険なしにしないというオバマ政権の称賛に値する野心の値札はそこには含まれていない。使い古された米国のインフラを更新したり、環境課題を追求する政府の計画も含まれてはいない。成功した新興市場の水準まで米国の中等教育・・・を引き上げるのもかなり費用がかかるだろう。この領域でのめざましい進歩のためにはただ政府資金が必要な条件ではあるが、教師や管理者、生徒、親が直面するインセンティブのなかで学校のガバナンスの調整における大きな変化もまた必要である。私は全米教員連盟に立ち向かうオバマをまったく考えることができない。ガバナンスとインセンティブにおける改革を抜きに、健康や教育に莫大な公的支出をすることは米国において、英国で労働党のもとで過去6年間でなしとげられた、もちろん非常にわずかかな成果を達成するだけであろう。

健康、インフラ、環境、教育への新たな支出は米国の一般政府支出は景気循環的に調整された基準でさえも、GDPのシェアで優に40%の水準を超えるであろう。米国が帝国の過剰な拡大を抑制し、GDPに占める軍事費を半減したとしても、それは総公的支出の2.5%であるだろう。

・・・資金の当てのない社会保障債務はすでに受給者に約束されてきた額の”果てのない地平線上で割り引きされた価値”である。資金調達メカニズムをもっていないのだ。社会保障でそれは13.6兆ドルで米国の一年のGDP(およそ14兆ドル)よりわずかに低いものである。

・・・巨額の社会保障の約束も老人医療健康保険制度の約束からは小さくみえる。・・・当てのない老人医療健康保険制度のための総債務は85.2兆ドル、米国の年間GDPの600%超である。老人医療健康保険制度と社会保障を合わせると700%超・・・

もちろん、これらの数値は推定値である。・・・もちろんこれは契約上の債務ではなく政府の約束である。

・・・
・・・社会民主的な税負担を課すことができないなら、社会民主的なスペンディングの望みを持つことはできない。

米国の公共経済の持続性に関する私の怖れは米国の公衆がサンタクロースがいると信じているという私の信念に基づいている。増税か受益者負担のかたちで代価を支払わずにより高い受益や高品質の公共財を持ちうるという・・・

・・政府はやむを得ず、インフレとデフォルトを選択するだろう。・・・市場は「非持続性」の解決策としてのインフレにゆっくりと目覚めていくであろう。市場が絶望的に近視であるとき短期的にはデフレだが・・・いったん3年以上の将来を視野にいれると、そして5年以上なら確実に高インフレ(5〜15%)のリスクが重要である・・・
・・・抜粋終わり、続きは原文参照

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