2011年12月30日金曜日

今年も押し詰まる

来年はどうなるか、ひとつの見方として、ルモンドでジョルジュ・ウジューのブログ、「2011年のひどい金融の誤りは2012年も続くだろう」を読みながら、忙しかった師走の末にくたびれたアタマでボンヤリ考える。なんだか疲れた一年だったような気がする。

「私たちがこの年、非常に多くの出来事を経験してきたが、2011年に犯された厳しい誤りが私たちの将来に持つであろう衝撃、・・・振り返えざるをえない。金融の次元では、特別強力な仕方でそれは、世界の金融状況を悪化させているが故に、私たちに挑戦している。私たちがまさに経験してきた危機は欧州における景気後退によって複雑化され、世界じゅうで、先進国であれ新興国であれ、経済を後退させるであろう。」

と始まる。どうやら来年も悲観的なようだ。今年あった出来事を考えると楽観的にはなりにくい。

「2011年は次のパラドックスに私たちを連れ返した。
すなわち、政策には、たとえそれが経済問題を解決する能力が制限されている場合でさえ、かなりな障害となる能力があると。」

たしかに無力な政治が経済困難に取り組むほど問題が難しくなってくる実際をユーロ危機で目にしてきたな。パラドックスというに値する。

「ユーロ圏の、また一般に欧州諸国の行動の不在がこうした破壊的能力を示した。
一年前、5年物のギリシア国債は5%の収益を与え、それがいま、手に入れることができるなら、20から30%の間にあることがわかる。それは現在、さまざまな程度で、ユーロ圏全体で、投資家の不信の波が上昇し始め浸水している。信頼を再建するためには、責任がとられる場合、時間がかかる以上に、無限に高価な代償があるだろう。金融上の誤りは現金と躓きを支払わされる。この2日間、イタリアによる90億ユーロの国債発行は、2011年初めには4%であったのに、0.57%の低下をみながら7%のオーダーの利回りを確認する。本当の津波が到来したのはこの国なのである。」

たしかに政治の不作為が欧州の困難を悪化させてきたようにみえる。それは高い利回りで借り換えをしなければならない意味で金銭を失うと同時に、金融をつける投資家の信頼回復のために大きな代償も支払わされる。年末イタリアの国債オークションで知らされたところ。投資家は神経質でせっかち。しかし政治はその反対であることで、事態の悪化が進んだといえるか。

「必要な手段をとりえないのは米国経済も同様である。
米国財政を再度均衡化し公債を削減するための増税を含むあらゆる解決策が米国議会の組織的妨害にあっているためである。借入れ利率が上昇している欧州との相違は米国財務相は記録的な利率で借入れ続けていることである。10年物の債務は3.50%であったものが、国際的な投資家の信認の向上で一年で2%以下である。11月の大統領選挙のデッドラインまで状況を進展させるものはなにもないであろう。

米欧とも債務問題はあるが、カネは米国に逃げていっている。

「資本市場は、ますます相互に接続しあっている。
それはこの動きによって影響を受けやすい国々に即座に反応する大国や地域に影響する。伝染のこうした影響は、ほとんど差し迫ったものになった。ウォール街は、リアルタイムで欧州の状況の変化に反応する。こうした現実を理解することなく問題を解決しようとすることは金融の問題を個々に区別された方法で管理するほうに向かわせる。さほど重要ではないギリシャの問題が世界システムの問題を引きずり出した。」

金融の問題はもはや各国の個別対応では対処しきれない段階にきている。その伝染力が今年は目を引いたなあ。

「公的債務は、債務とその金利の故に自動的に肥大化する。
フランスが発表する800億の歳出の赤字において、約500億近くが5年で55%増える債務の重荷で手当てされる。・・・ここではまた、この経路への不注意が将来への重荷にもなりうるのである。」

債務は金利で膨らんでいく。ファイナンスがつくかどうかとあわせ、それが将来の重荷になることも重要なことだな。

「経済に対する金融の影響は民主主義を脅かす。
それは・・・政府による急速な資本注入を引き起こすことができなかった欧州の金融機関の恐喝である、ほとんど金融機関には、優先的に公共財産を考慮する正直さがない。それらは、経済の均衡に脅威を与え続ける。それは・・・理解しがたい欧州の銀行に3年間1%で5000億ユーロ近くを融資することである。成功した金融業者は、社会の利益に先立ち彼らの利益を通させる。ECBを通して組織されたその回転木馬が明らかになった。銀行のECBに対する預金は、彼らの預金と同じレベルで引き渡された。4980億ユーロのうち110億ユーロがイタリアの銀行によって使われた。」

国家債務の危機で明らかになったのは、公共性の考慮が金融の世界にはないこと。利欲で動く世界、当然といえば当然だが、社会的にみればそれでよいわけでもないだろう。しかし救済されるときは、公益を理由に、銀行は潰せないとされるのだ。

「消費者は経済の必須の要素である。
多かれ少なかれ高利貸の金利で圧力をかけたり、個人や中小企業への融資を削減することは、こうした手段を使う者たちを再浮上させるため・・・。さらに、あらゆる層の人々や大企業に必要な緊縮の努力を広げることを拒否する傾向は深刻な社会的動揺を引き起こした。・・・付加価値税の引き上げは購買力を損ない、そのことで経済成長を損なう。」

国家債務の危機で緊縮策が採られ国民にツケが回る。その影響は各層に均等ではない。増税も企てられる。しかしそれが経済を損なうことも明らか。

「米国との関連で欧州の状況を考慮すると、2011年、米国の5%の株式の上昇に欧州の20%の低下が対応し、25%のギャップが注意をひく。そのギャップは2つの大陸の銀行間では40%である。そして、これは欧州の銀行の資金を引き渡す・・・。 特に大部分の欧州の銀行の格付け低下の後では、そうした状況は2012年も続く。」

欧州の苦難は続くということかな・・・

「もし政策決定者が・・・2011年から教訓を得ていないのなら、2012年は大不況かもしれない。私たちは社会と民主主義の危機に瀕している。それは生存の問題となった。」

危機はもはや経済の危機を突き抜けているか。それがまた経済を台無しにする。生存の問題とは重い指摘だなあ。

Les erreurs financières magistrales de 2011 vont nous poursuivre en 2012. | Démystifier la finance

2011年12月26日月曜日

ユーロ圏の十戒

ハンデルスブラットの記事、「ユーロの将来はイタリア次第」;「ユーロ単一通貨の生き残りは南の国の経済発展にかかっている。来年初めイタリアは深刻な不況に陥るだろう」のなかに、「ユーロ圏の十戒」がある。

各戒律には、「どの国も赤字を経済実績の3%以上にはできない。そうなるなら警告が発せられ、自動的に罰金が課される」とか解説がつけられているが、それは省略するとして、この間の錯雑とした交渉の結果得られた合意を、うまいこと言うもんだなと思うが、十戒にまとめている。

さて、これが守られるかどうか、それは来年の話だな。

汝、その分限を超えて生きるなかれ
汝、罰金を妨げるべからず
汝、次世代を考慮すべし
汝、欧州裁判所に敬意を表すべし
汝、不確実な投資家になるなかれ
汝、経済成長をもたらすべし
汝、ECBの独立性を尊重すべし
汝、隣人の金を求むべきにあらす
汝、大きな政治経済に耳傾けるべし
汝、欧州コアを新たな現実と認むべし

2011年12月25日日曜日

悪いことばかりではない

中国の不動産バブルの破裂が必ずしも悪いことばかりではないという視点は共有しておくべきかな。

「・・・中国の不動産バブルの破裂はすべて悪いニュースというわけではない。より安価で手頃な住宅が、・・・より大きな消費者需要を解き放ち、世界経済のリバランスを助け、中国の勤労階級家族の貯蓄を溢れ出させることができる。遊休不動産に長く閉じ込められた投資は、より生産的な追求に向かうことができる。こうした調整は長く引き延ばされすぎたのだ。このため、少なくとも幾人かの中国のリーダーたちは、リスクがあるにもかかわらず修正を強要しようと決意したように見える。しかし、彼らは鋭い刃の淵を歩いていることを知っている。」

China's Real Estate Bubble May Have Just Popped | Foreign Affairs

2011年12月24日土曜日

来年、新興国経済も厳しいか

「・・・米国から始まった金融危機はいま欧州で猛威をふるっており、来年は比較的に安定した新興国も巻き込まれるかもしれない。BRICSは厳しい試練を受けるでしょう。国によっては旧式の通貨危機を経験するかもしれない。2008年に金融危機に対応して、主要な先進国は金融・財政政策を緩めた。これは新興国経済に、とりわけBRICSに相当な資本流入を作り出した。このホットマネーはこうした諸国の成長をサポートしたが、不幸なことにいわゆるその成長は旧式の信用バブルでしかなった。三つの力がBRICSのバブルを破壊している。まず、ドルが上がっている。米国の政治的膠着状態が財政拡張を制限している・・・第二に・・・欧州の銀行は数兆ユーロの規模で引き締めを行い、その結果顕著な流動性の喪失をみている。ECBはこのギャップを埋めるため流動性を注入しなければならない。第三に、中国の不動産バブルの破裂、新興経済を支えるコモディティ価格の低迷、・・・。
ECBや連銀の量的緩和が可能な限り早ければBRICSのホットマネーバブルは回復するかもしれない。しかし、この政策のタイムリーな導入は疑わしいし、その額も充分ではないだろう。来年、BRICSのバブルは結局、崩解するかもしれない。・・・ブラジルとインドは鋭い通貨下落をみるかもしれない。・・・良好な交易条件にもかかわらずブラジルとインドの経常収支の赤字はまだ大きいものだ。インドの毎月の貿易赤字は約100億ドル、GDPの7〜8%に等しい。・・・」

来年は新興国経済まで含めて、とても厳しい状況を向かえそうだな。

看中国 - 谢国忠:明年大家钱包可能缩水(图)

ECBの限界?

「・・・欧州がなんとか切り抜けていくほどに、ますます銀行のECBに対する要求は増大するだろう。ECBが・・・ユーロ圏の銀行に資金提供する唯一の源泉になることができるとしても、それは政治上、持続可能なのだろうか。ある点で、指導者たちは全民間部門の信頼を欠く銀行がもはや成長する経済にファイナンスすることができないことを理解しはしないだろうか?その時点で、彼らは、ユーロが持続可能ではなく、離脱の準備をするとの結論を下すであろう。そうしてECBの限界に達していることであろう。」

最後の貸手としてのECBの量的緩和には、政治的な限界があるのではないかと疑問を呈する向きがある。ECBに限界があるとすれば、それはユーロ圏の政治的能力がそうしていよう。しかしそれを決めるのもまたユーロ圏諸国の政治的意思なのだな。

Where Will The ECB's Billions Go? - Seeking Alpha

2011年12月21日水曜日

ECBのLTRO

たしかにECBのLTRO(長期買戻約定オペレーション)に止目すると、ECBは大きな実験というべきことをしているな。

「ECBは、現在LTROの大きな実験を行なっている。そこでは、シングルAの低信用格付けの紙切れを見返り抵当に、銀行へ3年間、無制限の流動性を供給している。(銀行は)1%でECBから借りて、5%以上でPIIGS債務を買う、・・・銀行はバランスシートを修復する。国家は融資にアクセスする。誰もが勝つわけ。」

ECB's LTRO Experience A Cautionary Tale For The Fed - Seeking Alpha

2011年12月20日火曜日

公的債務、歴史の教訓

「大規模な公的債務の削減と蓄積の世紀からの教訓」を読む。下記のような教訓が歴史から引き出すべきものかは即断しかねるが、提供されているグラフやデータは役に立つ。

「重債務先進国経済は、挑戦的な光景に直面している。第二次大戦後にとられたような高インフレで内国債務の負担を削減する・・・ような異例のオプションの追求か、おそらく魅惑的な近道だが高い代償を伴う債務リストラかである。徐々にではあるが安定した調整が進むべき正しい道である。歴史が示しているのは整然たる調整が持続的な中期の成長のコンテキストにおいてはるかに容易であるということである。構造的政策の実行とともに競争力とビジネス環境の改善、成長の障害を最小化する手法で財政調整をデザインすることにプレミアムがあるということを示唆しているのだ。」

A century of public debt and what have we learned? | vox - Research-based policy analysis and commentary from leading economists

2011年12月19日月曜日

欧州にとって必要なこと

いま、欧州にとって必要なのは通貨供給の拡張によるユーロ安、その結果である競争力の改善かもしれない。

「ドイツは財政の深い穴から自らを掘り出した仕方に誇りをもっている。それは国際競争力の獲得と多額の貿易黒字を生み出すことでなされた。忘れられていることは、競争力を獲得するのに必要な苦痛を実際に経験する必要がなかったということだ。EUは市場へのアクセスを提供した。ドイツマルクは強い通貨であったが、やってきたより弱いユーロがドイツの競争力に加わった。同時に、ユーロは現在トラブルに見舞われている欧州諸国の通貨より強かった。その相対的な競争力はユーロによって傷つけられた。そうしてソブリンリスクの誤解が引き起こした低い借入れコストがそれをいっそう悪化させた。ドイツの改善された競争力は、低廉な債務が輸入市場に与えられることで、その赤字を他の市場に輸出することを可能にした。そうしていくつかの方法で、ドイツの成功は他のユーロ圏の痛みを導いた。
これを解決するために、ユーロ圏の外部の市場においてトラブルを抱えた欧州の競争力を改善するためにユーロが安くならなければならない。通貨供給の拡張が必要だ。・・・」

Europe: A Tail Risk No More - Seeking Alpha

2011年12月18日日曜日

リーマンのときより深刻

欧州の銀行は危機にある。「我々はもう一つのリーマン・モメントに瀕しているのか」、「もう一つのクレジット・アンシュタルト・モメントに瀕しているのか」という問いかけをせざるをえない。後者は1931年の危機のとき破綻した欧州で最大の銀行の一つであったクレジット・アンシュタルトの破綻のことであり、その破綻が大恐慌を最終的に特徴づける銀行破綻の伝染の引き金になったと考えられている事例である。

「リーマンブラザーズが2008年に破綻したとき、米国政府は金融システムに急速に拡大した問題に取り組む能力を持っていた。言い換えると、米国経済の絶対的な大きさとその金融政策のメカニズムがそれを完全に支援することを可能にした。そして必要なら、問題を金融システムのなかに吸収しえた。これはクレジット・アンシュタルトの事例とは違っていた。オーストリア政府はクレジット・アンシュタルトの支援に乗り出そうとしたが、オーストリア経済にとってそれは吸収するには大きすぎた。その結果、世界中の諸国に危機を広げることになった。これは現在多くの欧州の主権国家が直面している問題であるばかりか、また実際には地域全体にわたる銀行の壊滅的な不良債権問題のコアにあるのは主権国家自体である。・・・クレジット・アンシュタルトが破綻したときは、世界経済はまだ金本位制のもとで運営されていた。これにより緩和的政策支援で対応する能力が制約される。代わりに、世界の指導者たちは金の流出を抑制するために、積極的に金利を上昇させるなど、より限定的な政策行動を・・・余儀なくされた。これはユーロ共通通貨では今日の問題である。独自の独立した通貨を持つ主権国家は金融緩和と通貨切り下げで対応することができるだろうが、相対的な高金利と頑固に固執される一元的金融政策による、・・・そしてまた金融政策には柔軟性がなく成長を制約される緊縮財政を提供される。・・・従って、欧州のソブリン債務危機に伴うリスクもリーマンのエピソードよりも深刻である。政策立案者が市場の流れを食い止めるために積極的に介入する能力や決意と柔軟性を持っていても、欧州で銀行破綻が発生した場合、これらを容易に利用できない・・・。そしてこうした働きなしにもう一つのクレジット・アンシュタルト・モメントの脅威に我々は直面している。」

欧州の共通通貨においては金本位制のころに似た条件に置かれる。そうしたユーロ圏で銀行の危機に直面している。リーマンのときとは違うのである。政治が無為にすごすか、なんらかの対応がとられるのか、しかしその場合も米国政府がそうであったような緩和的な政策が十分とれるわけではないだろう。さて事はどう展開するのか。

Forget Lehman, Watching For Another Credit-Anstalt Moment - Seeking Alpha

2011年12月14日水曜日

大西洋を渡るか

LIBORの上昇は2008年の流動性危機を記憶のなかから呼び覚ます。危機は大西洋を渡り始めるのか。

「現実は、LIBORは7月以来、刻々と時を刻んでおり、欧州の危機はすでに、大西洋を渡って広がり始めているということである。米国での資金調達のストレスは、ウォール街の巨人を傷つけるほどには広範囲のものではないが、LIBORの上昇は、信用の流れが再び米国経済を妨げはじめることを懸念させる信号である。・・・銀行間取引市場で増大するリスク回避は、欧州の数ヶ国における支払い能力危機が2008年におけるような流動性危機に転移するかもしれないというリスクをもう一度見るかもしれないことを意味する。」

3 Month USD/Libor At Highest Rate Since July 2009 As Contagion Risk Grows - Seeking Alpha

2011年12月13日火曜日

時限爆弾

「ブリュッセルの結果は欧州にとって時限爆弾;財政規律へのあいまいなコミットメントはECBから欧州の銀行が無制限に資金を借り入れることのいちじくの葉として十分なものだ。銀行はあからさまにジャンク債を購入するために金を使うよう求められる。欧州は時限爆弾の上に座っている。」

下記記事によるとメルケルは落ち込んでいたそうだ。その理由は、おそらく、仏中銀総裁クリスチャン・ノワイエのフランスのテレビ局LCIとのインタビューから推測できるのだろう。

「・・・我々はバズーカの使用を昨日決定した。銀行が事業を継続しうるよう融資を提供し続けることができる。国債を購入し続けることができるのだ。これは銀行や保険会社、金融投資家の仕事である。我々は彼らがこれをなしうるよう必要なあらゆる流動性を与える」、「ECBは3年間無制限の流動性を銀行に提供することを決定した」との発言だ。

「マネーを無制限に印刷するコマンドが与えられた」とこの記事ではいう。ECBは直接ジャンク債を購入しはしないが、銀行に買わせるのだ。サルコジの勝利か。とにかく大統領選挙まで深刻な危機を遅らせることが彼の計算かもしれない。

ただそうは言っても、「解決されない問題がある。洪水がくるというときに、ここ数か月、銀行は大規模に自国政府債券のクレジット・デフォルト・スワップを販売してきた。BNBパリバやウニクレディト、オーストリアのフォルクスバンクは自分の国に賭けており、国債の買い手は国家破産の場合保証される。これは時限爆弾を強化する・・・」

サルコジにとって、洪水は選挙の前か後か、この記事はフランスのことわざ、Après moi le déluge!私の後に洪水(後は野となれ山となれ)を引用する。そして選挙までの危機の引き延ばしが災厄を生むと主張したいようだ。


Das Ergebnis von Brüssel ist eine Zeitbombe für Europa | DEUTSCHE MITTELSTANDS NACHRICHTEN

バックドアQE

ジ・エコノミストの”銀行ドアQE”という記事を読ませていただいた。
バックドアQEですか。破産銀行が破綻政府を支援するのか。後ろには納税者がおり、彼らはそのことでどれほどの代償を求められるか明らかにされず、関与させられていくと。救助する人間は自らが溺れていないとき溺れる人を助けることができるが、二人の溺れる人間が助け合う光景はたしかにあぶないかもしれない。

「ユーロ圏政府はECBが大量の国債を購入する見返りに財政協定に合意するという先週の成果まで、壮大な駆引きが無論のこととされていたが、まったく起こってはいない。しかしおそらくそれは別の経路で行われている。
ECBは欧州の銀行に期限延長して資金を貸し付けることに合意し、その担保要件を緩めた。この動きは欧州は銀行間貸出市場のフリーズに起因するリーマン型の崩壊を阻止する準備ができている兆候として一般に歓迎された。
しかしユーロ圏の指導者たちが、広くほのめかしてきたのは、銀行が1%でECBから資金を取ることができ、国債での収益に投資し、その仕方で非常によい利回りプレミアムを稼ぐことができるということであった。これは一種のバックドアQEである。あるいはそれよりおそらく銀行ドアQEがよりよい呼び名である。1990年代初期、連銀は意図的に、貯蓄貸付組合の危機のあと、3%で借入れ財務省証券に6〜7%で投資することで、米国の銀行がそのバランスシートを再構築できるようにする右上がりのイールドカーブを設計した。
銀行がこうしたリスクをとるかどうかについては、国債保有上のなんらかの損失を市場に伝えなければならないので、若干の問題がある。そしてこの交渉が債券利回りに多大の効果を持ついかなる兆候もいまのところはない。
もちろん、この交渉は二人の溺れる人間がしがみつきあうような、皮肉な光景にある。破綻した政府を破産した銀行が支援する、もちろん両方の後ろには納税者がいる。しかし、この種の取引は、有権者にコストを明らかにせずに納税者の側に暗黙の関与を作り出すように設計される。」
The euro zone crisis: Bank door QE | The Economist

2011年12月11日日曜日

デフレによる解決

「欧州は欧州である。米国や日本、BRICではない。それはイデオロギーのコラージュ。漕手それぞれが異なる方向にパドルしようとするカヌーを思う。歴史が示しているのはそれが間違った解決をなしうること、しかし漕手は協力して漕いでいる必要がある。ユーロ圏は見たところ、26か国が自由貿易圏と共通通貨を維持するために、さらに若干の主権を放棄することにいまちょうど合意した独立した27か国の国家連合である。しかし、ユーロ圏が金融政策を使うケインジアンスタイルの介入なしに調節していた兆候がある。担保がある通貨のかつての世界において、貧弱な業績の諸国にとって経済を修正するメカニズムは競争力を回復するための財とサービスのデフレであった。反対に比較的に上手にしている国では財とサービスはインフレートした。」

たしかに為替による調整が効かないユーロ圏諸国は、賃金や財の価格を切り下げ、国内的に平価切り下げと同様の効果をあげなければ競争に勝てない。実際、ユーロ圏の勝者、ドイツの賃金の上昇率は他の圏内諸国より低いものであった。ユーロ圏諸国の経常収支の不均衡の根底には単位労働コストの不均衡があったといえる。ドイツが最も低くギリシャやアイルランドで高かったといわれている。したがって経済の悪いユーロ圏の周辺諸国が競争力を取り戻そうとするならば、長期にわたって財やサービスの価格のディスインフレが必要となる。これは当該の国の国民には厳しいことだろう。最新のデータではドイツの時間当たり賃金の伸びはスロバキアは別にしてユーロ圏平均の3.6%より高く4.8%を示し、ギリシャ、アイルランド、ポルトガルはマイナスである。不均衡是正につながるとしても長い時間を要することだろう。その長期にわたって切り下げにくい名目賃金率を下げていかねばならないとするなら、ユーロ圏に生きる人々には辛い日々が続くことを意味しよう。しかしこれはデフレによる解決というイデオロギーが支配する別の惑星に、世界のその他の国々には見えるかもしれない。
この世界が下記サイトの筆者がいうようにオールドファッションかどうか、それはわからない。ただ彼らは彼らの選択をしているだけか。

Fixing The Eurozone - Old Fashioned Inflation And Deflation - Seeking Alpha

自滅と悪循環

EUサミットはドイツにとってよい結果だったのかもしれない。しかしそれは自滅と悪循環の経済をもたらすとの議論。一読すべきか。

「成長がなければ、どこでも財政赤字は消え去りはしない。債務は上昇している。・・・執拗な赤字に対するドイツの反応はいっそうの緊縮財政への要求である。これは自滅と悪循環の経済学だ。最悪の場合、成長の欠如は最も脆弱な国の債務を処理する能力を蝕む。ひとたび投資家が、資金調達コストが持続不可能な点を超えていると考えると、国債利回りは再び急上昇する。イタリアはそのポイントに近づいている。」

EU’s vicious-circle economics dooms it to failure - The Globe and Mail http://www.theglobeandmail.com/report-on-business/international-news/eus-vicious-circle-economics-dooms-it-to-failure/article2265562/

EU’s vicious-circle economics dooms it to failure - The Globe and Mail

2011年12月10日土曜日

EUサミット、アナリストの批評

EUサミットに関するエコノミストの「絶賛の批評はない」という記事は考えさせられる。アナリストたちの主張を読めばわかるが、そのクールな観察者の見方が妥当か、大陸の政治家たちの信念が途を拓くか、事態の推移はまだまだ注視すべきことだけはたしかかなと思うが、とにかく記事の書き手は英国人だなと思う。冷静なアナリストの批評を列挙している。

「EUサミットのすべての詳細はまだ明らかにされていない。私たちが確実に知っていることは英国が交渉の一部にはならないということ。・・・とにかくもEUは進みゆく。しかし、より重要な要素は有望なパッケージが市場の恐れに対処するのに十分だろうかどうか、経済を景気後退へ突入させず、地域の長期見通しを安定化させるかどうかである。当初の批評はよいものではない。」

そうして、

まず、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドのハーバインダー・シーアンの批評。
「サミットは財政問題で主権を取り除くために前進があったにしても債務危機に解決をもたらしてはいない。ここで問題は、財政が問題でないということである。マクロのインバランスははるかに広大で、また緊縮政策は、・・・多くの国の成長を損なうであろう。」

次に、類似の指摘をソシエテジェネラルのジェームズ・ニクソンから。
「サミットの結論に明らかな批判があるとしたら、それは、欧州の指導者たちの行動がただにユーロ圏の問題が債務超過と赤字から生じているとの限界のある潜在的に誤った信念に導かれ続けていることである。実際、少なくとも成長が不十分で諸国がこうした債務に役立つ充分な名目所得を生み出すことができないことも同じくらい重要である。」

また、ロイヤル・バンク・オブ・カナダのアダム・コールの言。
「・・・サミットの結果は昨日のECBの記者会見と合わせ、S&Pが今後数日のうちに、ユーロ圏諸国のほとんどの格下げを実行しないことよりも、それをよりありそうなものとする。」

そして、バンク・オブ・ニューヨーク・メロンのサイモン・デリックの見解。
「昨夜の決定がユーロ圏が”安定的結束”の状態にあることを確認したとすれば、私たちはいま、ギリシャが・・・大きな経済的苦痛を経験する準備ができているかどうか尋ねなければならない。そうでなければ、今後、アテネは離脱を決定するに違いない。これが、私たちにとって、昨夜の出来事から取り出される実際の結論である。」

そうして、
「それで要約すると、アナリストが正しければ、指導者たちは間違った方法で問題に取り組んでおり、ECBから十分な支援も得ず、格付機関からの格下げを防止せず、ギリシアが離脱するのを止めないであろう。おやまあ。」と。

The euro zone crisis: No rave reviews | The Economist

2011年12月9日金曜日

通貨狂食の世界

ボストン・コンサルティングのリポート、「メソポタミアへの後退?迫りくる債務リストラの脅威」はすぐにも目を通してみようと思う(下記サイトにリンクあり)。そう感じたのはこれを取り上げた下記の議論が目に止まったからだ。リーマン以降とくに顕著であるが、自国経済の苦境を通貨切り下げによる輸出増でしのごうとする通貨切り下げ競争の光景はみな見てきているところだし、国際的なインバランスが世界経済を歪ませていることも知られている。しかしそれが世界的な債務爆発をもたらしているという話、またふくらみ過ぎた債務のリストラが必要なレベルにきており、それが発生したときの脅威の指摘は興味深い。

よく我が国の国家債務が国民一人あたりいくらいくらという話を聞かされるが、事は世界全体でも考える必要がある。人類が作り出した債務は管理しうる限界を越えている。70億人の一人ひとりにつき3000ドルの債務が成立している世界である。この債務は管理の限界を越えて荒々しくリストラされざるをえないだろう。それはどのような経済社会上の災厄を通して果たされるのか。そこに到らんとする通貨狂食状態に、たしかにいま人類は置かれているか。

「世界が大きな過剰負債にあることは恐らく明白なポイントである。しかしどれくらい、そしてなぜなのかはそれほど明らかではない。今日、世界の総債務はおよそ150兆ドル、あるいは世界のGDPの194%である。また、ボストン・コンサルティング・グループによる最近の研究によれば、世界の先進国の経済は、管理しうる債務とみなされる水準、対GDPの総債務比率の極大、180%に戻るために、債務総額をおよそ21兆ドル削減する必要がある。この金額、21兆ドルはほとんど理解不能である。それは惑星上のあらゆる男性、女性、子供、つまり我々70億人全員の各人につき3000ドル以上になる。どのように、またなぜ世界はこうした窮地にあるのか。ロジャー・ブートルは・・・国際貿易のインバランスがこの債務危機の容易に見落とされる一つの原因であることを指摘した。このようなインバランスは赤字国が輸出する以上に輸入するので、またその差をさらに多くの債務で埋め合わせるので債務超過の強化があおられてきた。理論上、為替レートは貿易不均衡に応じて・・・変化するであろう。しかし、多くの政府が、輸出市場の保護のため為替取引の自由なフローを妨げる。様々な国々は各々の競争者に対してそれらの通貨の価値を引き下げ他方を凌駕しようとするので、その最終結果は一種の通貨狂食状態になりうる。」

Competitive Currency Devaluation (Part 1): The Feeding Frenzy - Seeking Alpha

新たな欧州への途か

ヴェルトオンラインの記事、「岐路に立つEU;政府と危機の隠された側面」で、フランクフルトでもたれた”欧州バンキング・コングレス”での財政同盟と新欧州についてのショイブレの講演に関する記事をみる。ショイブレはドイツ人の国民意識に挑戦しなければならないか。未来志向の欧州を語っている。

ショイブレは1945年以来ドイツはいかなるときも主権国家ではなかったという。債務危機はドイツ連邦共和国の民主制度のその基礎にまでショックを与えた。その意味でドイツの主権性が問題になるということらしい。これはドイツの国民意識に挑戦することであるだろう。

会議での講演をショイブレはこう言うことで始めたそうだ。「統一ドイツはいかなる主権国家でもあるべきではないのか。それはなにか。占領地域か。もしそうなら誰に占領されている?・・・ショイブレはこうした問いを提起した。」・・・なぜならメルケルが計画する新たな欧州への国家主権の譲渡を軽視したいがためであり、会議で彼に反対する者はいなかったという。大戦以来もはや主権は存在しない。こだわるべきではないということのようだ。「それゆえ欧州統一のなかでの”新たな統治形態の創出”を試みる。この新たなかたちは、政治レベルだけではない。すべてに責任を負い新たな条約に基づく。」

「”私の固く信ずるところは21世紀は、過去の世紀の古典的な民族国家の独占的コントロールに戻るよりも未来志向のアプローチである”と銀行家たちに向かって語った」という。財政同盟で、いまやユーロ圏諸国がひとつの経済・金融政策によって扱われる新欧州になるときだということだろう。「この新欧州でユーロ圏は共に接近し、英国は影響力と重要性を失うであろう。欧州安定機構(ESM)はもう一つの権力機関であるが、これが作り出される。」

国家債務の危機で引き金がひかれた新欧州と欧州安定機構(ESM)への道はドイツ国民の意識の変革も迫るものなのかもしれない。

EU am Scheideweg: Die öffentliche und die verborgene Seite der Krise - Nachrichten Politik - WELT ONLINE

2011年12月8日木曜日

まず消火

「・・・この危機を引き起こしたのは政府による過剰な借入れではなく、むしろ民間部門の過剰な借入れ、バブル主導型成長、その他の行き過ぎであった。しかし最も緊急の問題は火災そのものである。ユーロ圏はすでにOECDによれば景気後退にある。そしてその金融危機は世界経済を減速させている。・・・」

緊縮策を採ればとるほどユーロ圏の危機は次の段階に進むのかな。

Eurozone crisis enters new phase as ECB fights Europe for austerity « Real-World Economics Review Blog

吸血鬼はAAA

米国の格付け機関S&Pによる格付け引き下げは欧州各国の国債から始まり、欧州の銀行ばかりか自治体の債券にまで及ぶようだ。しかしルモンドのブログは、S&Pの格付け表に言及し、皮肉な事実に注意を喚起している。それは各国の税収を低下させているのが脱税であり、その資金はタックスヘイブンに逃げるが、そのタックスヘイブンが軒並みAAA格付けを与えられているという事実だ。香港、リヒテンシュタイン、シンガポール、スイス、この四か所だ。

「このように、格付け機関がほとんどの国に財政赤字の汚名を着せるとき、税収を吸い上げる者たちを讃えるのだ。」

Quatre paradis fiscaux classés AAA | DéCHIFFRAGES

2011年12月7日水曜日

From America to Asia, we’re all in the euro zone - Outside the Box - MarketWatch

「中国の外貨準備のうちおよそ8000億ドルが欧州に投資されている。損失は彼らの貯蓄プールを削減するだろうし、彼らの財務省証券の購買能力に影響しよう。」

欧州での出来事は米国にも中国にも大きな影響があるなあ。

From America to Asia, we’re all in the euro zone - Outside the Box - MarketWatch

2011年12月6日火曜日

無言の合意

「財政同盟への動きに合意がある場合、ECBがより積極的なスタンスをとるだろうという明らかなヒントがあった。独仏政府は中央銀行に過剰な圧力をかけないように注意したが、ECBが債券購入をステップアップし金融政策を緩和する無言の合意があることは明らかである。どのような形の量的緩和も中期的にはユーロを圧力下に置くであろう。独政府は財政規律並びに財政緊縮策の組み合わせを主張するであろう。また、非常に緩い金融政策が中期的にさらにユーロを弱くしておく主要因になるであろう。」

やはり無言の合意があるのだろう。

Why A Saved Euro Would Be A Weak Euro - Seeking Alpha

Sweden and the euro: Out and happy | The Economist

たしかに「冬がとても寒いのがわかっているなら家がしっかり作られているか確認すべきだ、さもないと凍えてしまう」。

Sweden and the euro: Out and happy | The Economist

2011年12月5日月曜日

悲劇を前に

今週、欧州で事がどう展開するか注目だが、たしかに

「ユーロ圏と欧州通貨同盟への道は善人による善意で舗装された。不運にも、財政連合のコンテキストにおいて単一通貨は単に調和させることができない設計上の欠陥である。これを基礎に通貨統合を続ける試みは、遅かれ早かれ失敗する運命であった。メルケルとサルコジがその財政同盟のための提案を打ち出し、また熱狂的な外交活動がユーロ圏諸国17か国に独仏協定をやめさせようと試みるので、今週目撃されるものは、大きな国際的ステージ上で演じられる一大悲劇のなかの最終演技の一つ以上であるとも以下ではない。」

ということだけはたしかなのかもしれない。

A Week Of Historic Economic Tragedy Ahead - Seeking Alpha

社会ダーウィニズムの再生か

社会ダーウィニズムが戻ってきている。

ウィリアム・グラハム・サムナーか。「サムナーは1880年代に、”文明は単純な選択肢を有している。自由かつ不平等、適者生存”か”自由なくかつ平等、不適者生存”かと書いた。前者は社会を前方へと運び、その最良の成員にとって好ましい、後者は社会を凋落へと運び、最悪の成員にとって好ましい。」

いやな時代であることだが、現実はそうなっているか、いやそちらに運ばれゆくのか。

The Rebirth of Social Darwinism : Information Clearing House

2011年12月2日金曜日

"財政協定"

欧州の債務危機をみながら、じぶんなりに納得していくのは疲れる。下記のFAZの記事では、ECBのスタンスがドラギの発言から伺えるかな。

「・・・マリオ・ドラギはEUによるユーロ諸国の財政政策の監視強化を要求する連邦政府とEU委員会を支持した。債務危機の解決における最も重要なステップはユーロ圏における新たな”財政協定”であると・・・述べた。彼はECBによる債券購入を擁護したが、・・・”ECBは条約に基づき行動している。条約にない事をするよう依頼すべきではない。”と。”財政協定”ではユーロ圏諸国は欧州による一定の財政ルールと統制にコミットしなければならないだろうし、いまそれに優先性がある。EU委員会は先週、新しい立法を提案すると表明した。独仏はこれを協定への修正提案をすることで補うことを望んでいる。”財政協定”は現在、ユーロ諸国の政策への市場の信頼を取り戻すのに最も重要なものである、その他のことは後から続きうる、とドラギは述べた。現在の債券の市場からの購入はECBの金融政策が完全に機能することを維持するために必要であったと。債券購入の目的は追加的な流動性を作り出すことにはなく、政府もまた助けられるものではない。”それは・・・異例の手段である”。金融市場の緊張で金融情勢は非常に害されてきた。”ECBの政策は常に・・・物価安定と中期的には通貨同盟を目標としている、・・・”。この発言はECBがデフレ傾向には、別の金利引き下げで対応することを示唆していると解釈される。」

事はドイツの望むような方向に向かうのだろうか。

Euro-Schuldenkrise: Schäuble für nationale Tilgungsfonds - Europas Schuldenkrise - FAZ

危機と脱税

「脱税はいかにユーロ危機を増幅するか。」腐敗の世界地図が興味深い。

「腐敗がユーロ圏の危機を増幅する」か。

「脱税と戦うことへの政府の無関心は、それが付き物の諸国への不信の感情を生み出す。また、この現象への共通の反応のうちの1つは資金の逃避を試みることである。イタリアやギリシアのような国々では、相当量の資産は租税回避地へ移された。こうした資本は間違ったニーズをもつ経済に水をやる。これは国からかなりの資源を奪いとる。」

脱税が「風土病」の国はギリシャをはじめ、ソブリン債務危機の国でもあるなあ。

Comment la fraude fiscale renforce la crise de l'euro - LeMonde.fr

廃墟の上に

独仏がEU新条約を目指すというニュースをみたあと、ルモンドで「メルケルがユーロ圏を破壊した」という議論を読む。

「ユーロを救済するために、加盟各国の財政に対する欧州のいっそうの統制を受け入れるべきか。否。受け入れるべきではない。それはドイツの独裁だ。メルケルはEUにドイツの命令を下す決定をした。彼女は中産階級と労働者階級に危機のなかで蓄積された債務の代償を要求することでユーロ圏を破壊している。・・・ドイツのエゴイズムだ。彼女は支配を課そうとして対立を作り出す。もしドイツがフランスを含め、欧州各国にギリシャへの治療法を押しつけるのに成功するなら、ポピュリズムと極右が随所で勃興していく。フランスはドイツと手を切りうるか・・・。」

こういう意見は根強いものだろう。だから、欧州新条約の国民投票がある場合、「あらかじめ言っておくなら、この国民投票はネガティブであろう。なぜならメルケルの連邦主義は他国と自国民に課せられたドイツの権威のストリッパーのバタフライだからだ。」

「ただドイツの成功について言いうることは貿易黒字だが、それは中国に対してのものではない。ドイツが財をなしたのは我らが廃墟の上にである」というように怨嗟の声もあろう。

EUの前途、まだまだわからない。

Arnaud Montebourg : "Merkel détruit la zone euro" - LeMonde.fr

2011年12月1日木曜日

ブルーとレッド

「ユーロを危機から脱出させる三つのアイデア」を読む。
ここにある三つのアイデアのうち、ブルーユーロ債務とレッドユーロ債務にわけるそれがおもしろかった。強力な共通のソブリン債を作る、良好な財政管理のインセンティブを作り出す、そのためにユーロ圏各国の公的債務を二つに分割するというもの。ブルー債務はGDPの60%まで、つまりEU条約で設定された限度まで、これは高品質で、これらはマージされて高度に相互保証され共同で発行される。これは米国の政府債務の競争相手となるだろうと。レッドはGDPの60%を越える債務で個々の国が相互の保証なく発行する。
いろいろなアイデアがあるものだ。

Le Figaro - Conjoncture : Trois idées pour sortir l'euro de la crise

2011年11月29日火曜日

為替リスク

スタンパの、”だが、より弱い諸国が単一通貨を残すことができる”に目を惹かれる。

たしかに、市場の信頼を取り戻すために構造改革や銀行への資本注入といった取り組みは短期にはなんの効果ももたないのかもしれない。また「信用リスクを削減するためのフランクフルト(ECB)の大量の債券購入はユーロをドルに対して切り下げることにもなろう。インフレ圧力の引き金になるなら、堅実なドイツの債務は増大する通貨の価格変動のゆえにもはや担保として保有されないだろう。このことが意味するのは投資家にとって魅力的なユーロ建て資産の圧縮であり、欧州から急速な資本逃避である。」

やはり投資家の懸念する事情は変化してきているか。「2008年の金融危機の開始以来の、ドイツの安全な避難先という神話が終わって、投資家はクレジットリスクや堅実なパフォーマンスのドイツ国債に焦点を当ててきたが、いま、為替リスクに焦点を当てている」。

"Ma i Paesi più deboli potrebbero uscire dalla moneta unica"- LASTAMPA.it

安上がりの解決はない・・・か

一昨日は、フランクフルター・アルゲマイネなどが”エリート債”を取り上げていたが、
Elitebonds statt Eurobonds: Merkel arbeitet offenbar an Plan B - Wirtschaft - FAZ http://www.faz.net/aktuell/wirtschaft/elitebonds-statt-eurobonds-merkel-arbeitet-offenbar-an-plan-b-11544015.html
昨日はビルトが、「エリート債」でユーロを維持しうるか、として取り上げていたなあ。

ユーロ危機と闘うために新たな武器が議論されている;いわゆる”エリート債”の導入。ドイツがいまだ信用力のあるフランス、フィンランド、オランダ、ルクセンブルグ、オーストリアと共同してカネを借りようというものだ。
「彼らは共に債務のリスクを共有して金融市場で資金を借りるという。重債務国はおそらく安く借り入れる。ドイツなどの国家がおそらく現在よりも高い金利を負担することになる。これまでのところ、各国は個別に資本市場で資金調達する必要がある。ドイツのような高い信用力の国々は融資、つまり彼らの債券に非常に低い金利を負担する。イタリアやスペインなどの危機にある国は顕著に高い金利を負担する。」これに対して、「ユーロ圏のトリプルA格付けの諸国が共同して資金を借り入れる。この資金はトリプルA諸国の債務を賄うばかりか、イタリアやスペインのような・・・国々にも厳格な条件付きで」貸し出される。このエリート債につき、ビルトのインタビューに対してミハエル・ブロイニンガーは、「金融市場を落ち着かせるには、なにかがなされねばならない。ユーロ債やエリート債は最後の解決だろう」と述べている。ドイツには高くつく話ではあるが、「ユーロ危機に対して、いかなる安上がりの解決もない」とも。

Neue Waffe gegen Schulden-Krise: Können "Elite-Bonds" den Euro retten? - Wirtschaft - Bild.de

元も子もない

「イタリアやスペイン、ギリシアの多くの人々は無責任であった。そして改革が必要である。しかし教訓を与えるためにユーロを破壊することは鈍すぎる手段である。経済が散りじりになるとき、罰せられた者は有罪でも無益でもない。ECBは、最後の貸し手になることが、たいそう重視される物価安定を脅かすかもしれないと懸念している。しかし、ユーロがその結果消え去るなら、物価安定に利益はない。」

たしかに、もともこもなくなるということはある。しかし当事者はわかっているが・・・というところだろう。

Italy, Spain, and the European Central Bank : The New Yorker

2011年11月27日日曜日

奇妙といわれれば・・・

奇妙じゃあないですか、債務の救済が必要なイタリア国債が売れて、救済の役回りを期待されているドイツ国債が札割れした事実。
救済に消極的なドイツを動かそうとするかのこの出来事、米国務相とゴールドマンサックスが仕組んだという話。GSなど米銀はスワップや保険商品の販売で欧州のソブリン債に1兆ドル超の保証をしている事実。真相はわからないけれど、さもありなんという気にもなる。
OpEdNews - Article: Goldman Sachs Has Taken Over

ECB頼み

”システムは自分自身を安定化しえない”

「ドイツの有力な信託会社DWSは欧州国債市場の崩壊を警告し、ECBの介入を要求している」か。「オランダの金融グループINGもECBの迅速な介入が不可避と。”さもなければ伝染のリスクは上昇し続け、危機が継続する”。ECBが”市場の裁定者としての役割を受け入れるとき、自動的に投資家のリスク選好も上昇するであろうし、状況が緩和される”。」
とは言ってもそれはまた彼らに利益の機会をもたらす。一般人には勝手な言い分に聞こえるかもしれない。しかし国家債務へのファイナンスが途切れることは一大事。事態をこうしておきながら自分自身の始末に困ると言うのもなあ。

下記に欧州各国の改革能力の通信簿あり。
しかし市場の改革能力など誰も採点しないのだろう。
Staatsanleihen: "Das System kann sich nicht mehr selbst stabilisieren" - Nachrichten Geld - WELT ONLINE

債務危機と金融市場

ソブリン債の危機で国々の経済や社会は苦吟している。下記を読み、改めて金融市場の奇形性に関心が向けられねばならないと感じさせられる。

「市場は、一国の政治制度や経済政策が申し分ないものかどうかの判断に自分たちの仕方を押し付けた。しかし、市場は、単一の機関でも様々なプレーヤーによる広く平衡を保たれた複合でもない。それは大金融機関の小集団になった。その力は、大国が力を合わせたものを圧倒しうる。147の機関が、直接あるいは間接的にか民間企業のグローバルな収入の40%をコントロールするのである。腹立たしいのは、国々や社会との関連を考慮することなく彼らが利益を追求することだ。こうした金融業者たちは手段を講ずるよりはむしろ、いまここで、彼らが投機を行うときでさえ、多くは明らかに手遅れで不適切な努力に対して債務危機を解決するよう強いる。ソブリン債を保有する金融機関はCDSを購入することで保険を掛けうる。こうした契約が金融機関の間で取引されるので、思慮深い企業統治が詐欺になるように見える。・・・」

Painful Euro Crisis And Lessons For The World – Part II

2011年11月19日土曜日

限りある資産

欧州事情を観察していると下記の言葉と同じ感じをもつ。

「毎日カチカチ音を立て続けている一つの変数は時間である。時間は限りある資産である。主権国家がその債務にリファイナンスする必要があるその時に政治家たちが議論し論争することに時間を使うのでかつてないほど近くで時は刻まれている。」

European Resolution: The 2 Options Available - Seeking Alpha

2011年11月16日水曜日

ペナルティは99%に

「欧州は終わったのか」という下記の一文を読んでいて、この部分に目が止まる。

「債務危機は従来の分析によれば、高度な社会サービスをそれを支えるのに必要な収入なしに維持してきた放蕩な政府に起因する。しかし欧州の現在の経済危機は多岐にわたって2008年の金融危機の余震であり、その時、欧州の銀行は無分別にも、米国の機関がリスクの高いモーゲージを商うために作り出したあらゆる想像の産物に投資した。そうして同じ欧州の銀行は、自身を救済するのと同じレベルで、そこには若干の米国救済資金も含まれる公的債務への投資にシフトした。言い換えれば、銀行は一つの薬物マーケットから締め出され、単に別のところに移った与太者の一団のようなものである。彼らはまず最初に、手数料だけで10億ドル以上をかき集めて一儲けし、政府当局による責任ある政策を保証することはほとんどなかった(結局財政責任は短期的な採算によって妨げられた)。

債務を切り下げることは銀行が損失を被ることを意味する。それでたとえば、もしイタリアの国債がドルにつき50セント回収不能として帳簿から消し去るなら、ニューヨーク・タイムスによるなら、ゴールドマン・サックスはその年の最初の9か月で34億3000万ドルの10%を失うであろう。この悲しい曲芸のなかで、誰かが緊縮策を背負うとすれば、それは銀行であるべきである。しかし99%が1%の愚行のためにペナルティを払い続けることはありそうにみえる。」

累積債務危機も、99%と1%の話の一つであるか。苦しまなければならないところが救済され、苦しんでいる多数に罰金が課されるようなものなのだな。

Is Europe Over? | FPIF

信条次第

「宗教としての科学か主流に向かうピークオイルか;
経済理論においては成長と消費は無限に増加しうるし、全世界の人間に拡大しうるという仮定が優勢である。しかしこのことが示しているのはただ、現代の経済理論でさえ信条によって支えられているということだけだ。」

たしかになにごとも信条次第のところがあるな。

China Intern - Wissenschaft als Religion oder Peakoil goes Mainstream

2011年11月12日土曜日

「ユーロ離脱、実行は困難」

ユーロの先行きが懸念されユーロ離脱国の出現に言及されることがあるが、言うのは簡単、しかし実行は難しいと。それができない理由として、かつてのオーストリア-ハンガリー帝国の共通通貨崩壊時の事例が想起されている。かつて、オーストリア帝国とハンガリー王国は共通通貨を持っていたが、共通通貨は崩壊した。帝国の各地域は自国通貨を持とうとしたが、誰もがいちばん強い通貨を持とうとして混乱した事例である。

たしかに、今日、金融システムは高度に情報化している点で、かつてと様変わり。クリックひとつでカネは動く。ユーロ離脱となれば国外にカネは瞬時に逃げ出すだろう、と。

Leaving The Euro Is Hard To Do : Planet Money : NPR

2011年11月11日金曜日

希少性と有限性

そうだなあ、稀少であることと有限であることは別のことだな。

「新古典派経済学は、私たちが希少性と「有限性」を混同するのを手助けした。希少性は物が入手できないことによってではなく、自由な欲求や私たちの正当な要求が無限の欲望へと転移したが故の飽くなき需要によって引き起こされる。」

Are economists right to fear that the United States might follow the Japanese into stagnation? « Real-World Economics Review Blog

2011年11月8日火曜日

ユーロ圏の分裂

市場はユーロ圏は分裂するとみているのかな。

「ユーロは今ある形の最後の時を過ごす。ギリシャやイタリアはドイツと同じ通貨を持ってしては危機から脱出できない・・・」

Le Figaro - Marchés : Les marchés spéculent sur un éclatement de la zone euro

残骸

ガーディアンの記事、「エリートはいまだそれに立ち向かえない。欧州のモデルは失敗した」を読んだ。

The elite still can't face up to it: Europe's model has failed | Seumas Milne | Comment is free | The Guardian http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2011/nov/02/elite-europe-model-failed

末尾の言葉が妙に印象に残った。

「しかしどこでも、危機は頭上で過去の世代の通説を回している。そうしてその残骸が片付けられたときに別の世界になるのだろう。」

我が国は震災の残骸が片付かない。しかし残骸は目に見えるものばかりではない。私たちの頭上をぐるぐる巡っている残骸もあるのか。

2011年10月20日木曜日

チャートが示す現実

米国での所得の伸びなどを示すインタラクティブなチャートが紹介されていて便利。「驚くべきチャートが示しているのはその国の90%が過去30年どれくらい騙されてきたかである・・・」、というのも分かるし、OWSの動きも当然と思える。

Amazing Charts Show How 90% Of The Country Has Gotten Shafted Over The Past 30 Years...

2011年10月17日月曜日

ポトラッチ・モデル?

OWS(ウォールストリートを占拠せよ)がどういう発展と深化を示していくかは興味深いところ。それが果たしてポトラッチモデルで動いていくのかどうか。

下記の指摘は、もしそうした傾向が認められるならば、この運動への関心を持続させるのかもしれない。

「OWSが援用しているものはオープン・ソース・モデルである。大規模なオープン・ソース・プログラムが組織に欠けていることがないことに注意しよう。リーナス ・トーバルズはリナックス開発の明瞭なリーダーで、彼の下には代理のコホートがいた。しかし、これは大志を抱いたもので、そうでなければきわめて非公式のもので あった。
それが機能した理由の一つは、なにが望ましい結果であるかに関して規準が共有され、コミュニティーのメンバーが、仲間によって認知され評価される貢献をすること で、彼らが何かを手に入れたと感じたということであった。ポトラッチ・モデルで作用する大規模な集団があり、そこでは高度に動機づけられた仲間集団の賞賛を経て 報酬を受けるということは強調されてよい。
対照的に、エリートの間で広がっている仮定では、ただ金銭だけが動機づけであり、誰もが結局購入しうるのである。」

2011年7月10日日曜日

差押え物件も多数となると、かな

15万件にのぼる差し押さえ物件をもつファニーメイ、差し押さえてみたが、というところか。モノはカネと違って管理にコストがかかるという当たり前の話だが。

The Cost Of Owning 150,000 Foreclosed Homes : NPR

2011年4月16日土曜日

ヌークスピーク

福島原発災害の発生以来、マスメディアにあふれてきたのは、政府や原子力当事者たちや専門家たちによる原子力関連用語の大爆発と拡散である。マスメディアはこれを助け、支援してきた。

かつて、ジョージ・オーウェルは共産主義が人間の脳髄や思考まで管理統制し、支配するためにニュースピークという新言語を強要する事態を描いたが、それに似ている。ほんとにヌークスピークだと思う。

「・・・ヌークスピークと情報管理技術の使用は一貫して核兵器と原子力を巡る論争を歪めてきた。・・・彼ら(核開発者たち)は彼らの希望と現実を混同してきたし、公然とその期待と仮説を事実とした。・・・

Fukushima Nuclear Disaster at One Month: The Explosion of Nukespeak | Common Dreams

2011年4月14日木曜日

石油価格

08年のオイル・ピーク時と、このところの高騰の違いがよく分かるチャートだな。投機筋による石油先物のネット・ポジションの高さが際だっている。

Are Oil Prices Driven by Speculators? | The Big Picture

2011年4月12日火曜日

コモディティ・バブル

コモディティバブルとFedのQE

こういうチャートを見せられると関連があると考えさせられるなあ。

Commodities Bubble Correlated to Fed. QE


http://www.dailykos.com/story/2011/04/10/965696/-Commodities-Bubble-Correlated-to-Fed-QE

2011年2月9日水曜日

富の困惑

コモディティ価格は上げてきているし、インフレへの懸念も高まっているし、世界的に争乱を経験している国も出てきた。今年以降、かなりリスクの高い経過をたどるのか。そこで、Caixin onlineでAndy Xie の2月1日付けの論説を読む。

Embarrassment of Riches_English_Caixin

まあ、議論は別にして、じぶんなりに邦文にしてメモしておくと、下記のような議論になっている。現状の基本的な構図が理解できるか。

・・・以下メモ

富の困惑
世界は21世紀の最初の10年、より裕福になった。しかしなぜ誰もがいっそう貧しく感じるのか。

歪んだ繁栄

世界の穀物産出高はこの10年、それ以前の10年とほぼ同じペースで10分の1増加した。またエネルギーは3分の1増加し、これはそれ以前よりはるかに急速であった。エネルギー産出高の伸びの40%は中国の石炭生産に由来する。中国の石炭生産を除けば、世界のエネルギー生産は以前の10年間同様緩慢であった。

穀物とエネルギーは世界経済における最も基本的な投入物である。エネルギーと穀物は大きく低所得の人々に影響し、世界人口の圧倒的多数がこの範疇に入るとき、その低成長が示唆しているのは、生活が紙上で経済繁栄が示唆されるほど急速には向上していないということである。

そのうえ、世界の、ドルでみたGDPは二倍になったし、穀物やエネルギー産出高の伸びをはるかに凌駕したので、それらの価格は急騰した。FAOのグローバル食糧価格指数は10年間で138%上昇した。またブレント原油価格は1990年代の平均20米ドルから現在、バレルあたりおよそ100米ドルに上昇した。経済データが示唆するように米ドルでみた平均所得が90%上昇してさえ、食糧とエネルギーにおける並外れた価格上昇は世界人口の多数にとって、それを相殺してしまった。世界人口のかなりな部分が10年前より悪化しているかもしれない。

必需品のインフレが大部分の人々を沈滞させているのに、統計が示すのは少数の者たちの所得と富の急速な増加である。米国人口の上位1%が国民所得の4分の1を、国富の半分近くを得ている。10年前に倍しているのである。中国においては、所得に対する不動産価格の比率は10年前の二倍以上だが、不平等が二倍以上であることも示している。この傾向は中国と米国で最も鋭いかもしれないが、増大する不平等は世界的な現象である。所得における不平等の高まりは豊かな者たちによる支出へと経済成長を歪めてきた。そうした物は値段が高いし普及するものではない。したがって、紙上で言われるブームと民衆の不満は共存しうるのである。

有限の繁栄

経済データが繁栄を示唆するなら、それはそれ以上のなにかに現れなければならない。一例はなにかの製品やサービスでの急速な伸びであるだろう。私は三つのブームにある領域をみる。二つは中国に関連しており、一つは米国に関係している。

一つは、世界には軽工業品があふれている。中国の製造業部門の勃興がそのドライバーである。浄水器や炊飯器から、電子レンジまで。軽工業品は世界のどこにでもある物になった。それは中国の勃興による低価格である。貧しい人々にこうした商品はきわめて入手しやすい。

それはこの10年に3500億ドルから1.6兆ドルに上昇した中国の輸出に反映している。

こうした軽工業品の小売価格は先進国の販売棚では工場出荷価格の3から4倍、発展途上経済では3倍である。中国の輸出の伸びにこの率を掛け合わせるなら、中国の輸出急拡大が世界の好況の15%を占めると言えるかもしれない。

二つめは、中国のインフラブームが以前よりも、世界的なインパクトを十分に持つほどきわめて急速であることである。道路や鉄道、電力網のような中国の物理的なインフラは現在、規模において米国に匹敵する。そのほとんどが過去10年間に建設された。インフラは長期の投資である。そのインパクトは今日のGDPを使っては計算されえない。

にもかかわらず、この10年の中国の名目GDP4.5兆米ドルがそのインパクトを量るのに使われる。その量はこれまたこの10年の世界の経済繁栄の15%であろうだろう。

三つめは、IT革命が急速なペースで続いていることである。情報財の価格はこの10年で90%落ちた。その低価格はIT製品を低所得層に身近なものにした。

例えば携帯電話は、世界のほとんどの人々が使えるようになった。IT製品や情報サービスの名目価格がGDPの5%ほどであったにしても、その極端な価格下落で上記以外の繁栄の多くを説明しうる。

過大評価された繁栄

経済ブームは1、2の領域に集中する傾向がある。私たちは同じ事はあまり価値がないことをよく知っているが、GDPの計算にはこの要因は含まれない。水の浄水価格が落ちるとき、より低所得の家庭がそれを購入する。人は量によってその利益が減少しないといいうる。誰もが携帯電話を持ち、よりよいものに買い換えるとき、携帯電話市場の成長は明らかに以前より低い。

測定することの問題は部分的には、経済データと人々の感情の間の分離を説明するのかもしれない。世界経済は上記に述べた三つのエリアで急速に拡大してきた。その限界的な利益は減少している。他方で、食糧やエネルギーのような必需品は維持できない。したがって、エコノミストは意味あるGDPの成長を報告しうるが、その間、人々はより幸福ではなくなったのである。

緩和的金融政策の効果

緩和的金融政策は世界中で不平等を高めた。グローバリゼイションと教育は通常、不平等の最も重要な要因とみなされる。前者は技能にとって市場の範囲を増加させる。それで特殊な技能をもつ人々はグローバリゼイションから釣り合いのとれないほどの利益を得る。しかし現実において、エンジニアや科学者、コンピュータプログラマはグローバリゼイションから比類なき利益を上げてはいない。彼らの所得のプレミアムはそれほど増えてはこなかった。

教育によるプレミアムは先進国経済では重要であるようにみえる。

大学教育を受けた者とそうでない者との間には失業率において顕著な相違が存在する。理論上、平均的な教育レベルが低い新興国経済においてはいっそうそうであろう。現実は理論によく一致しはしない。需給のような別の要因が教育要因を圧倒するかもしれない。中国における、大学教育を受けた者にとっての減少する賃金プレミアムは供給が増えていることを反映している。ブルーカラーの賃金がいま、急速に上昇することで、そのプレミアムはほとんど消え失せている。

資産市場は不平等を駆り立てることで、他の要因以上にいっそう重要である。通常、資産や所得が急速に上昇している者は資産市場に参加しているか、関係している。GDPに対する資産価値の比率は景気循環を経験する。不動産や株式の価値総額は変動し、よい時に出入りしたものが豊かになり、そうでない者は貧しくなる。

所得と資産の配分は生産性とは無関係な、ほとんどカジノとなった。それは緩和的な金融政策が経済循環を膨らませ、ブームと破裂を引き起こしたためである。

中央銀行は経済が弱いとき刺激すると信じている。それは安価なマネーで資産バブルを作り出す。金融積極主義が世界の問題の最大の原因である。それは世界中で、実体経済の活動を脇に押しやる”資産ベースの経済”を作り出した。資産市場を通した資産と所得の集中は社会における充足感の水準を減退させた。嫉妬が主要な理由ではない。ほとんどの人々は時が経つにつれて暮らし向きがよくなってはいないのである。

スタグフレーションが世界に付きまとう

世界経済はスタグフレーションに滑り落ちている。インフレが頭をもたげているのに、経済の成長率は落ちている。IMFの予測は、先進国経済は、GDPの成長率は2010年の3%から2011年は2%に、新興国経済は7.1%から6.5%に減速するとしている。

さらに、必需品のインフレははるかに高い。食糧とエネルギー価格が急速に上昇するとき、携帯電話やパソコンのどのような価格の下落もほとんどの人々の幸せへのネガティブな衝撃を相殺できはしない。たとえそれがGDPの計算において技術的に可能であるときでさえそうである。

皮肉なことに、金融政策の立案者はインフレを評価判断するときに、しばしば食糧とエネルギーを無視する。両者があまりに価格変動しすぎるという理由からである。そう、それらは価格が変化しすぎる。しかし、その大きな振幅のなかで、過去10年、それは急速に上昇してきた。その短期的な攪乱に焦点をあて、その長期的な趨勢を無視するのはおかしい。食糧とエネルギーのインフレが他のなにもかにもへと広がるのは時間の問題である。その拡大はいま起こっている。デフレの国、日本でさえ、2011年には若干のインフレを予測している。

昨日の資産インフレには今日のインフレが続く。経済を刺激するという名目での緩和的な金融政策は過去10年間繰り返し実施された。通貨供給量の増加はまず資産市場に向かい、物価上昇のない資産インフレを引き起こす。

まことに、いわゆる金融刺激の効果は資産バブルを作り出すことからくる。資産市場におけるマネーストックの蓄積はいつまでも続きはしない。それは結局、資産バブルの崩壊ののち、CPIに向かう。中央銀行は資産バブル崩壊の影響に対処するためにさらに多くのマネーを追加する。さらにインフレを進めるのである。インフレは避け難い。過去のバブルを煽ったマネーストックとその破裂に対処するための追加的貨幣増加は完全にインフレとなるであろう。

生活が危険な年

インフレは過去の資産バブルで利益をあげなかったか、失敗しなかった中低所得家庭を締め付ける。多くの家計で生活水準が下落するので、社会的不満は激化する。他方でIT革命の事後効果は情報を安価にしてきた。その結合は爆発的混合である。

今年、小国でビッグバンが始まった。チュニジアの人々は立ち上がり、政府を倒した。このような爆発にはそれぞれ、独自の文脈があるが、ほとんどの人々にとっての経済困難がそうした出来事に役立つ環境を提供する。インフレは間違いなく経済的困難の指数である。それはまだ高まっているので、チュニジアのような爆発がかなりありそうである。

世界はもう一つの危機へ向かう

消火に当たるとき、第一の決まりは炎の中に燃料を投げないことである。今日のインフレ沈静化のなかで、この決まりに従ってはいない。上記で議論したように、インフレは避け難い。既存の貨幣ストックがインフレ的であるからである。インフレを封じ込めるには将来のインフレに貢献しないような方法で貨幣供給を増加させなければならない。通貨供給量の増加は名目GDPの伸び以下であるべきである。それに対応して、予想しうる将来の平均インフレ率より上に金利を引き上げる、すなわちマイナスの実質金利を
許容しないことである。

残念ながら、この原則はほとんど守られていない。

ユーロ圏のインフレ率はすでに、ECBの上限である2%を超えている。

金利の上昇は脅威であったが、そうならないと誰もが知っている。債務危機がその南部の経済に影響を与え続けているからである。

英国のインフレ率は4%である。莫大な財政赤字をもち、経済は最終四半期に収縮した。バンク・オブ・イングランドはインフレを黙認しそうである。連銀はインフレリスクを無視し続けている。高い失業率が賃金を抑制しインフレを抑えると述べているのである。機能不全の金融システムと高失業率を伴いながら、米国は他国の後でインフレを経験するであろう。しかしGDPの5分の1を超える農業とエネルギー会計では、輸入によって、米国は世界のインフレから逃れることはできない。

先進国経済は余りに多くの債務を抱えているので、インフレに取り組むのに気が進まない。その債務は金融危機までの10年間に50%増加した。そうして彼らは巨額の財政赤字を実行し続けている。

新興国経済は通常、その金融政策で受身である。経済成長にとって貿易や外国の投資に依存しているからである。先進国における緩和的な金融政策に先立ちインフレを制御することができない。これまでのところ彼らがしたことで、別の方法を示してはいない。主な示唆は金利を引き上げることが不本意であるということである。金利は実質金利がマイナスであることを除去するのに充分なほど速く上昇してはいないのである。

長引くマイナスの実質金利は常に金融危機を導く。

これまで繰り返し書いたように、次の危機は米国国債市場の崩壊か新興国経済におけるインフレが誘発するハードランディングのいずれかで始まるだろう。タイミングは2012年後半にありそうである。

・・・メモ終わり


2011年2月1日火曜日

ただ一つの問題

CNBCの記事、「エジプトの反乱の後では、穀物がゴールドより貴重だ」の記事

CNBC's Fast Money: Grains More Precious Than Gold After Egypt Revolt - CNBC http://www.cnbc.com/id/41352448

にある、ビザンチンのことわざはなるほどと思う。
「多すぎるパンを持つ国はたくさんの問題を抱える。わずかなパンしかもたぬ国はただひとつの問題を抱える。」

豊かな国はあれやこれやの問題を抱える。しかし食うものがなくなって、もっとも根源的なただ一つの問題に気づくわけだ。