2011年11月29日火曜日

為替リスク

スタンパの、”だが、より弱い諸国が単一通貨を残すことができる”に目を惹かれる。

たしかに、市場の信頼を取り戻すために構造改革や銀行への資本注入といった取り組みは短期にはなんの効果ももたないのかもしれない。また「信用リスクを削減するためのフランクフルト(ECB)の大量の債券購入はユーロをドルに対して切り下げることにもなろう。インフレ圧力の引き金になるなら、堅実なドイツの債務は増大する通貨の価格変動のゆえにもはや担保として保有されないだろう。このことが意味するのは投資家にとって魅力的なユーロ建て資産の圧縮であり、欧州から急速な資本逃避である。」

やはり投資家の懸念する事情は変化してきているか。「2008年の金融危機の開始以来の、ドイツの安全な避難先という神話が終わって、投資家はクレジットリスクや堅実なパフォーマンスのドイツ国債に焦点を当ててきたが、いま、為替リスクに焦点を当てている」。

"Ma i Paesi più deboli potrebbero uscire dalla moneta unica"- LASTAMPA.it

安上がりの解決はない・・・か

一昨日は、フランクフルター・アルゲマイネなどが”エリート債”を取り上げていたが、
Elitebonds statt Eurobonds: Merkel arbeitet offenbar an Plan B - Wirtschaft - FAZ http://www.faz.net/aktuell/wirtschaft/elitebonds-statt-eurobonds-merkel-arbeitet-offenbar-an-plan-b-11544015.html
昨日はビルトが、「エリート債」でユーロを維持しうるか、として取り上げていたなあ。

ユーロ危機と闘うために新たな武器が議論されている;いわゆる”エリート債”の導入。ドイツがいまだ信用力のあるフランス、フィンランド、オランダ、ルクセンブルグ、オーストリアと共同してカネを借りようというものだ。
「彼らは共に債務のリスクを共有して金融市場で資金を借りるという。重債務国はおそらく安く借り入れる。ドイツなどの国家がおそらく現在よりも高い金利を負担することになる。これまでのところ、各国は個別に資本市場で資金調達する必要がある。ドイツのような高い信用力の国々は融資、つまり彼らの債券に非常に低い金利を負担する。イタリアやスペインなどの危機にある国は顕著に高い金利を負担する。」これに対して、「ユーロ圏のトリプルA格付けの諸国が共同して資金を借り入れる。この資金はトリプルA諸国の債務を賄うばかりか、イタリアやスペインのような・・・国々にも厳格な条件付きで」貸し出される。このエリート債につき、ビルトのインタビューに対してミハエル・ブロイニンガーは、「金融市場を落ち着かせるには、なにかがなされねばならない。ユーロ債やエリート債は最後の解決だろう」と述べている。ドイツには高くつく話ではあるが、「ユーロ危機に対して、いかなる安上がりの解決もない」とも。

Neue Waffe gegen Schulden-Krise: Können "Elite-Bonds" den Euro retten? - Wirtschaft - Bild.de

元も子もない

「イタリアやスペイン、ギリシアの多くの人々は無責任であった。そして改革が必要である。しかし教訓を与えるためにユーロを破壊することは鈍すぎる手段である。経済が散りじりになるとき、罰せられた者は有罪でも無益でもない。ECBは、最後の貸し手になることが、たいそう重視される物価安定を脅かすかもしれないと懸念している。しかし、ユーロがその結果消え去るなら、物価安定に利益はない。」

たしかに、もともこもなくなるということはある。しかし当事者はわかっているが・・・というところだろう。

Italy, Spain, and the European Central Bank : The New Yorker

2011年11月27日日曜日

奇妙といわれれば・・・

奇妙じゃあないですか、債務の救済が必要なイタリア国債が売れて、救済の役回りを期待されているドイツ国債が札割れした事実。
救済に消極的なドイツを動かそうとするかのこの出来事、米国務相とゴールドマンサックスが仕組んだという話。GSなど米銀はスワップや保険商品の販売で欧州のソブリン債に1兆ドル超の保証をしている事実。真相はわからないけれど、さもありなんという気にもなる。
OpEdNews - Article: Goldman Sachs Has Taken Over

ECB頼み

”システムは自分自身を安定化しえない”

「ドイツの有力な信託会社DWSは欧州国債市場の崩壊を警告し、ECBの介入を要求している」か。「オランダの金融グループINGもECBの迅速な介入が不可避と。”さもなければ伝染のリスクは上昇し続け、危機が継続する”。ECBが”市場の裁定者としての役割を受け入れるとき、自動的に投資家のリスク選好も上昇するであろうし、状況が緩和される”。」
とは言ってもそれはまた彼らに利益の機会をもたらす。一般人には勝手な言い分に聞こえるかもしれない。しかし国家債務へのファイナンスが途切れることは一大事。事態をこうしておきながら自分自身の始末に困ると言うのもなあ。

下記に欧州各国の改革能力の通信簿あり。
しかし市場の改革能力など誰も採点しないのだろう。
Staatsanleihen: "Das System kann sich nicht mehr selbst stabilisieren" - Nachrichten Geld - WELT ONLINE

債務危機と金融市場

ソブリン債の危機で国々の経済や社会は苦吟している。下記を読み、改めて金融市場の奇形性に関心が向けられねばならないと感じさせられる。

「市場は、一国の政治制度や経済政策が申し分ないものかどうかの判断に自分たちの仕方を押し付けた。しかし、市場は、単一の機関でも様々なプレーヤーによる広く平衡を保たれた複合でもない。それは大金融機関の小集団になった。その力は、大国が力を合わせたものを圧倒しうる。147の機関が、直接あるいは間接的にか民間企業のグローバルな収入の40%をコントロールするのである。腹立たしいのは、国々や社会との関連を考慮することなく彼らが利益を追求することだ。こうした金融業者たちは手段を講ずるよりはむしろ、いまここで、彼らが投機を行うときでさえ、多くは明らかに手遅れで不適切な努力に対して債務危機を解決するよう強いる。ソブリン債を保有する金融機関はCDSを購入することで保険を掛けうる。こうした契約が金融機関の間で取引されるので、思慮深い企業統治が詐欺になるように見える。・・・」

Painful Euro Crisis And Lessons For The World – Part II

2011年11月19日土曜日

限りある資産

欧州事情を観察していると下記の言葉と同じ感じをもつ。

「毎日カチカチ音を立て続けている一つの変数は時間である。時間は限りある資産である。主権国家がその債務にリファイナンスする必要があるその時に政治家たちが議論し論争することに時間を使うのでかつてないほど近くで時は刻まれている。」

European Resolution: The 2 Options Available - Seeking Alpha

2011年11月16日水曜日

ペナルティは99%に

「欧州は終わったのか」という下記の一文を読んでいて、この部分に目が止まる。

「債務危機は従来の分析によれば、高度な社会サービスをそれを支えるのに必要な収入なしに維持してきた放蕩な政府に起因する。しかし欧州の現在の経済危機は多岐にわたって2008年の金融危機の余震であり、その時、欧州の銀行は無分別にも、米国の機関がリスクの高いモーゲージを商うために作り出したあらゆる想像の産物に投資した。そうして同じ欧州の銀行は、自身を救済するのと同じレベルで、そこには若干の米国救済資金も含まれる公的債務への投資にシフトした。言い換えれば、銀行は一つの薬物マーケットから締め出され、単に別のところに移った与太者の一団のようなものである。彼らはまず最初に、手数料だけで10億ドル以上をかき集めて一儲けし、政府当局による責任ある政策を保証することはほとんどなかった(結局財政責任は短期的な採算によって妨げられた)。

債務を切り下げることは銀行が損失を被ることを意味する。それでたとえば、もしイタリアの国債がドルにつき50セント回収不能として帳簿から消し去るなら、ニューヨーク・タイムスによるなら、ゴールドマン・サックスはその年の最初の9か月で34億3000万ドルの10%を失うであろう。この悲しい曲芸のなかで、誰かが緊縮策を背負うとすれば、それは銀行であるべきである。しかし99%が1%の愚行のためにペナルティを払い続けることはありそうにみえる。」

累積債務危機も、99%と1%の話の一つであるか。苦しまなければならないところが救済され、苦しんでいる多数に罰金が課されるようなものなのだな。

Is Europe Over? | FPIF

信条次第

「宗教としての科学か主流に向かうピークオイルか;
経済理論においては成長と消費は無限に増加しうるし、全世界の人間に拡大しうるという仮定が優勢である。しかしこのことが示しているのはただ、現代の経済理論でさえ信条によって支えられているということだけだ。」

たしかになにごとも信条次第のところがあるな。

China Intern - Wissenschaft als Religion oder Peakoil goes Mainstream

2011年11月12日土曜日

「ユーロ離脱、実行は困難」

ユーロの先行きが懸念されユーロ離脱国の出現に言及されることがあるが、言うのは簡単、しかし実行は難しいと。それができない理由として、かつてのオーストリア-ハンガリー帝国の共通通貨崩壊時の事例が想起されている。かつて、オーストリア帝国とハンガリー王国は共通通貨を持っていたが、共通通貨は崩壊した。帝国の各地域は自国通貨を持とうとしたが、誰もがいちばん強い通貨を持とうとして混乱した事例である。

たしかに、今日、金融システムは高度に情報化している点で、かつてと様変わり。クリックひとつでカネは動く。ユーロ離脱となれば国外にカネは瞬時に逃げ出すだろう、と。

Leaving The Euro Is Hard To Do : Planet Money : NPR

2011年11月11日金曜日

希少性と有限性

そうだなあ、稀少であることと有限であることは別のことだな。

「新古典派経済学は、私たちが希少性と「有限性」を混同するのを手助けした。希少性は物が入手できないことによってではなく、自由な欲求や私たちの正当な要求が無限の欲望へと転移したが故の飽くなき需要によって引き起こされる。」

Are economists right to fear that the United States might follow the Japanese into stagnation? « Real-World Economics Review Blog

2011年11月8日火曜日

ユーロ圏の分裂

市場はユーロ圏は分裂するとみているのかな。

「ユーロは今ある形の最後の時を過ごす。ギリシャやイタリアはドイツと同じ通貨を持ってしては危機から脱出できない・・・」

Le Figaro - Marchés : Les marchés spéculent sur un éclatement de la zone euro

残骸

ガーディアンの記事、「エリートはいまだそれに立ち向かえない。欧州のモデルは失敗した」を読んだ。

The elite still can't face up to it: Europe's model has failed | Seumas Milne | Comment is free | The Guardian http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2011/nov/02/elite-europe-model-failed

末尾の言葉が妙に印象に残った。

「しかしどこでも、危機は頭上で過去の世代の通説を回している。そうしてその残骸が片付けられたときに別の世界になるのだろう。」

我が国は震災の残骸が片付かない。しかし残骸は目に見えるものばかりではない。私たちの頭上をぐるぐる巡っている残骸もあるのか。